本編動画
2025年5月9日に、以下の目次で「ほぼ週刊、AI動向のイマとミライ」動画を配信しました。
1:06 (1)今週の概観と、ジャーナリストの視点
3:15 (2)トップAIラボの中でも特にパーソナルAIに注力するMeta
20:56 (3)Meta AI アプリの特徴
27:04 (4)OpenAI、Microsoft、ソフトバンク、Metaの関係性変化
38:48 (5)ベンチマークを重要視していない!?
42:55 (6)自動コーディングエージェントだけではAGIは実現しない
45:05 (7)開発者向け大型イベント「LlamaCon 2025」でのMicrosoft CEOの発言
49:02 (8)2035年までに生成AI関連で1.4兆ドルの売上達成を予測
50:46 (9)AIで広告の効果が増大
51:39 (10)今後、先進国でもメッセージを通じたビジネスが盛んになりそう
53:45 (11)B向け有料サービス
54:43 (12)Meta AIアプリの今年の目標は?
57:13 (13)スマートグラス|メガネがAIとメタバースに理想的なフォームファクタ
57:54 (14)Llamaのトレーニング費用援助をMicrosoft、Amazonなどに要請
各チャプターの概要は以下の通りです。
(1)今週の概観と、ジャーナリストの視点
(2)トップAIラボの中でも特にパーソナルAIに注力するMeta
・Meta AIの月間ユーザーが約10億人(ただし日本では未展開)
https://youtu.be/rYXeQbTuVl0?si=skDWxSGPOJkdEYSo&t=70
・年初の全社社員向け録画メッセージでMark Zuckerberg氏が「AIビジネスはマラソンだ」「だが正直言って、今年は私にとって短距離走に近いと感じている」「高度にインテリジェントでパーソナライズされたAIのユーザー数が10億人に達する年になる」「誰が最初にそこにたどり着いたとしても、歴史上最も重要な製品の一つを作る上で長期的かつ永続的な優位性を得ることになるだろう」と発言
https://www.businessinsider.com/mark-zuckerberg-meta-employees-intense-year-2025-1
・パーソナルAIの可能性:超高性能なデジタル秘書、アドバイザー、親友。これまでのどのメディア、サービスよりもユーザーに影響力を持つ。最高の広告媒体になる
・今年10億人達成が重要。ぐるぐるモデルが回り始めると、2位以下が追いつけなくなる
・パーソナルAI実現には、常に手元にあるデバイスが不可欠。Ray Ban Metaが米国では人気だが、日本では未発売
・あと、個人的な情報とセキュリティが不可欠。Apple Intelligenceは、iPhone内、もしくはApple Cloud上でAIが動く。Googleはユーザーの詳細な個人情報を既に持っておりユーザーは信頼している。OpenAIも、過去のやり取りを参考にする機能を実装した。MetaはSNS、オープンソースとLlamaの超小型化(コード名Little Llama)
・トップAIラボの方向性の違い。Metaは特にパーソナルAIに注力。中国との競争や安全性には、それほど興味なし
(3)Meta AI アプリの特徴
・①full-duplex speech:時間的空白ないのはすごい。一方で会話内容はChatGPTの方が上(現状、米国、カナダ、オーストラリア、ニュージーランドでのみ利用可能)
https://youtu.be/OSyA94AXvAk?si=xgujfc1Ltnch6Ygy
・②パーソナライゼーション
https://about.fb.com/news/2025/04/introducing-meta-ai-app-new-way-access-ai-assistant/
・③スマートグラスなどデバイス横断:Ray-Ban Metaで始めた会話を、スマホ、PCで継続可能
・④Discover:他のユーザーの撮影した写真や生成したイラスト、他のユーザーのプロンプトをSNSフィードのような形で見ることができる
(4)OpenAI、Microsoft、ソフトバンク、Metaの関係性変化
・MicrosoftとMetaが急接近。オープンモデルはMeta、インフラはMSという補完関係
https://www.youtube.com/watch?v=HZ47Fts1JDE
・OpenAI、Microsoft、ソフトバンク、Metaの関係性変化の経緯
→2019年7月22日(投資・パートナーシップ MicrosoftがOpenAIに10億米ドル投資、Azureの独占的プロバイダーに。Azure独占体制の確立)から、2025年4月5日(Microsoft, Meta Llama 4モデルがAzure AI Foundry等で利用可能に。最新オープンソースモデルへの迅速な対応)までの経緯
・米国の大企業がマルチモデル戦略を取るところが多い。Microsoftはそうしたクライアントの声を聞くので、マルチモデル戦略を取っていそう
・日本の大企業は大手ITベンダー、最先端モデルに任せたいところが多い。なのでソフトバンクは、OpenAIとスクラムを組んだのでは
(5)ベンチマークを重要視していない!?
・「これらのベンチマークは操作しやすい場合があり、必ずしもモデルの全体的な品質やユーザー価値を正確に反映しているわけではないと考えています」(Zuckerberg氏)
(6)自動コーディングエージェントだけではAGIは実現しない
・「Metaでも自動コーディングエージェント、AIリサーチエージェントを開発している。しかしそれは、コーディングエージェントをプロダクトとしてリリースするためではなく、Llamaを進化させるためのもの。ツールなどもLlamaに特化している。多分、1年から1年半の間にAI開発のためのほとんどのコードが自動コーディングエージェントによって書かれるようになると思う」(Zuckerberg氏)
(7)開発者向け大型イベント「LlamaCon 2025」でのMicrosoft CEOの発言
・「技術を取り入れるだけではダメで、企業経営のあり方も変わらなければ、生産性の向上は難しいと思う。産業革命の際に新しい技術が登場したのに、いつまでも馬車に乗っていては生産性の向上はなかったと思う」「長期的には、AIは経済全体にとって新しい生産要素となり、 healthcare, retail, broad knowledge workなど、あらゆる分野での生産性向上を通じて、先進国が10%成長するといった目標達成に貢献する可能性を秘めている」(Satya Nadella氏)
(8)2035年までに生成AI関連で1.4兆ドルの売上達成を予測
・2023年のMetaの全売上(約1,350億ドル)の10倍以上。2025年の推定売上の20億〜30億ドルから大きく飛躍する目標
(9)AIで広告の効果が増大
・「広告主が目標と金額を伝えるだけで、あとはAIがターゲットを設定し広告クリエイティブ生成を改善。直近の四半期では、Reels向けの新モデルテストでコンバージョン率が5%向上し、AIクリエイティブツール利用広告主が30%増加」(Mark Zuckeberg氏 4/30 2025年1~3月期決算発表で)
(10)今後、先進国でもメッセージを通じたビジネスが盛んになりそう
・2023年10月にビジネスチャットボットのテストを開始し、現在は英語とスペイン語でサービスを提供。テストに参加した企業からは、ブランドのトーンに合わせるのに数ヶ月かかることや、人間の担当者と顧客のやり取りから学習しないことが問題点として挙げられている
https://www.theinformation.com/articles/meta-plays-catch-working?rc=qgaeex
(11)B向け有料サービス
・社内向けに「Metamate」というAIツールを開発。Llamaがベースで、コーディング、リサーチ、ドキュメント作成、ワークフローの最適化などを支援。Metaの経営陣は外販を計画していると明言
https://www.linkedin.com/pulse/meta-rolls-out-metamate-ai-tool-employees-suraj-kumar-sujue/
(12)Meta AIアプリの今年の目標は?
・「今年の焦点は、パーソナライゼーション、音声会話、エンターテイメントを重視した主要なパーソナルAIにすること」(Mark Zuckeberg氏 2025年1~3月期決算発表で)
(13)スマートグラス|メガネがAIとメタバースに理想的なフォームファクタ
・「世界中の10億人以上のメガネ着用者が、今後5-10年でAIメガネを使用するようになると見ています。Ray-Ban Meta AIグラスの販売は昨年3倍になり、ユーザーの利用率も高いです」(Mark Zuckeberg氏 2025年1~3月期決算発表で)
(14)Llamaのトレーニング費用援助をMicrosoft、Amazonなどに要請
・Llamaの機能開発への影響力や、トレーニングプロセスに関する詳細な情報提供、特定の用途向けのオープンソース版モデル作成支援といったインセンティブを提案。反応は芳しくなかったらしい
https://www.theinformation.com/articles/meta-asked-amazon-microsoft-help-fund-llama
個別テーマ解説動画
また、各テーマに分割した動画も配信しました。興味のあるトピックに応じてご覧ください。
4月29日提供開始「Meta AI」アプリの特徴4選
0:00 Llama 4ベースで音声中心のUI/UX
0:26 特徴①:full-duplex speech
2:37 特徴②:パーソナライゼーション
3:28 特徴③:スマートグラスなどデバイス横断
4:00 特徴④:Discover
※サムネイル画像はKenya AguirreによるPixabay画像を活用
【切り抜き版】 OpenAI、Microsoft、ソフトバンク、Metaの関係性変化の経緯
0:00 MicrosoftとMetaが急接近
1:28 オープンモデルはMeta、インフラはMicrosoftという補完関係
3:39 関係性の経緯①:MicrosoftによるOpenAIへの投資
4:36 2023年7月18日、MicrosoftがAzureとWindowsでMetaのLlama 2をサポート開始
5:09 2023年11月17日、OpenAI取締役会がサム・アルトマンCEOを解任
5:29 2023年11月下旬、アルトマンCEO復帰し、Microsoftの影響力強化
5:52 2025年1月21日、Stargateプロジェクト発表、OpenAIのインフラ自律性の向上
7:27 Micrsoftとソフトバンクの読みの違い
【切り抜き版】トップAIラボの中でも特にパーソナルAIに注力するMeta
0:00 Meta AIの月間ユーザーが約10億人(ただし日本では未展開)
4:09 パーソナルAIの可能性:超高性能なデジタル秘書、アドバイザー、それから親友
5:34 ぐるぐるモデルが回り始めると、2位以下が追いつけなくなる
6:34 パーソナルAI実現には、常に手元にあるデバイスが不可欠
7:31 個人的な情報とセキュリティが不可欠
10:22 日本でRay-Ban Metaグラスが未発売な理由
12:01 MetaはパーソナルAIで世界をとりたいが、中国との競争や安全性にはそれほど興味なし
14:21 特に、AIとの自然な会話体験を重視
※サムネイル画像はPexelsによるPixabay画像を活用
登壇者情報

遠藤 太一郎
株式会社カナメプロジェクト CEO
国立大学法人東京学芸大学 教育AI研究プログラム 教授
AI歴25年。18歳からAIプログラミングを始め、米国ミネソタ大学大学院在学中に起業し、AIを用いたサービス提供を開始。AIに関する実装、論文調査、システム設計、ビジネスコンサル、教育等幅広く手がけた後、AIスタートアップのエクサウィザーズに参画し、技術専門役員としてAI部門を統括。上場後、独立し、現在は株式会社カナメプロジェクトCEOとして様々なAI/DAO/データ活用/DX関連のプロジェクトを支援する。国際コーチング連盟ACC/DAO総研 Founder等

湯川 鶴章
株式会社エクサウィザーズ AI新聞 編集長
米カリフォルニア州立大学サンフランシスコ校経済学部卒業。サンフランシスコの地元紙記者を経て、時事通信社米国法人に入社。シリコンバレーの黎明期から米国のハイテク産業を中心に取材を続ける。通算20年間の米国生活を終え2000年5月に帰国。時事通信編集委員を経て2010年独立。2017年12月から現職。主な著書に『人工知能、ロボット、人の心。』(2015年)、『次世代マーケティングプラットフォーム』(2007年)、『ネットは新聞を殺すのか』(2003年)などがある。趣味はヨガと瞑想。妻が美人なのが自慢。