地方の“美食店”が東京・八重洲に集結!「超DX料理賞」が熱すぎた 〜超DXサミット2023より

目次

超DX料理賞ドキュメンタリー

2023年9月5日〜8日にかけて、日経新聞社主催のカンファレンス『超DXサミット』(Super DX/SUM、読み方:スーパー・ディークロッサム)が、東京・日本橋の会場とオンライン配信のハイブリッド提供にて開催されました。

昨年同様、金融・農業・エネルギーといった幅広い業態におけるテクノロジー領域に関わる事業者や当局者などがオンライン・オフラインで参加したわけですが、その中でも初の試みとなったのが「超DX料理賞(Super DX Cuisine AWARD)」の発表/表彰です。

これは、日本各地の生産者が丹精込めて作った食材を様々な創意工夫で美味しい料理にして届け、環境と社会に配慮しながら、持続可能かつ発展的な変革を志向して地方の活性化等に貢献する「美食店」(Sustainable & Developmental Gastronomy =SDG)を表彰するというものです。

日本の“食”は、実に圧倒的な魅力を放っています。一歩国外に出てみると、そのことを強烈に感じる方は多いことでしょう。

The WAVEでは、そんな「国内各地域の食産業」に焦点を当てる本企画の様子をレポートすべく、9月7日に開催されたSuper DX Cuisine AWARD スペシャルパネル「 いま、なぜ地方のレストランが注目されるのか。〜超DX料理賞が示す豊かな未来」およびSuper DX Cuisine AWARD 受賞者発表&表彰式、さらには9月8日に開催された「超DX料理賞受賞記念パーティー(Super DX Cuisine AWARD Celebration Party )」の様子を、ドキュメンタリー動画としてお伝えします。

SuperDX Cuisine Award 2023(超DX料理賞)受賞者情報

当日は、以下10のカテゴリーに対して計15の店舗・チーム等が表彰されました。

※動画では、表彰式での各代表者によるスピーチの様子もお伝えしています

持続可能な海の幸グルメ賞 Sustainable Seafood Gourmet Award

→水産業の持続可能な活性化、高付加価値化とリンクした飲食店や、それを支える漁師、魚屋などによる「美食の創造」をたたえる賞。

持続可能な農業賞 Sustainable Agriculture Award

→地方に根ざし、自身で農産物を生産しながら、旬な食材を使った料理を提供する「ファームトゥテーブル」を実践し、地産地消とサステナビリティで際立つ活動をしている方に対する賞。

持続可能な狩猟肉賞 Sustainable Game Meat Award

→狩猟だけでなく、精肉や加工までを一貫して行い、地方における自然とビジネスとの共生を実践している活動に対する賞。

持続可能な畜産賞 Sustainable Livestock Award

→畜産業において、生産者や精肉店、料理人が互いに協力し、新しい形での共生や畜産業支援の実現を目指している活動に対する賞。

  • チームサカエヤ 新保吉伸 氏[滋賀県の精肉店「サカエヤ」と全国の生産者、全国のレストラン](滋賀県草津市)

伝統と革新の融合賞 Fusion of Tradition & Innovation Award

→古来からの自然食材、保存食、発酵食品などの食文化の発掘、継承、発展に加え、他国の食文化と地域の食材、伝統的食文化との融合による多様性に基づいた新たな美食の創造に対する賞。

  • 星野リゾート奥入瀬渓流ホテル「Sonore」(青森県十和田市)
  • GUUUT(長野県上伊那郡箕輪町)

秀逸オーベルジュ賞 Auberge Excellence Award

→畜産業において、生産者や精肉店、料理人が互いに協力し、新しい形での共生や畜産業支援の実現を目指している活動に対する賞。

革新ビジネス賞 Business Innovation Award

→新しいビジネス創造や地方創生への貢献に対する賞で、廃棄される食材や低価値な食材の高付加価値化と、それを用いた美食の創造やデジタル媒体を用いた宣伝戦略によって地域活性化に貢献した活動に対する賞。

地域融合エコシステム賞 Regional Fusion Ecosystem Award

→食材と周辺の自然のつながりを大切にし、地産地消を超えた食のエコシステム創生を実現するとともに、地元の工芸品や家具などを使い、地方との融合を目指している活動への賞。

美食都市創造賞 Gastronomic City Creation Award

→伝統文化に基づく工芸品や地域性をベースに美食でつながる魅力的な街づくりに取り組み、ガストロノミーツーリズムや地域への移住者の増加までにつながっている活動に対する賞。

  • 桝田酒造店 桝田隆一郎 氏[富山の東岩瀬地区を作り上げた桝田酒造店・桝田隆一郎社長と東岩瀬地区に集まった飲食店や工芸、アーティストたち(ふじ居くちいわGEJOねんじり亭などの飲食店、ガラス作家、彫刻家、 陶器作家などのアーティスト集団)](富山県富山市東岩瀬町)

レジェンド賞 Legend Award

→ここ10数年の食の世界の地位向上をけん引し、日本にガストロノミーを定着させてきた先駆者であり、全国のトップシェフに問題意識を提供してきた料理人の方への賞。

SuperDX Cuisine Award 2023 審査員情報

柏原 光太郎 ※審査員長

食の熱中小学校 校長 / ガストロノミープロデューサー
一般社団法人日本ガストロノミー協会 会長

慶應義塾大学卒業後、文藝春秋に入社。『東京いい店うまい店』編集長などを経て、2018年「日本ガストロノミー協会」設立し会長就任。2023年「食の熱中小学校」校長就任。同年『ニッポン美食立国論』出版

食の熱中小学校
食の熱中小学校 「食の熱中小学校」は、生産者と消費者をつなぎ、食べる楽しさを育むコミュニティづくりを目指す大人の学び舎です。食に精通した一流講師による講座や、地方の第一線で活躍...

マッキー牧元

株式会社味の手帖 取締役編集顧問 兼 タベアルキスト

https://mackeymakimoto.jp/

長坂 紅翠香

フードジャポン 代表 / 著者・フードライター

年間600軒食べ歩くフードライター。著書に「あすかりんのおいしい金沢」など3冊。グルメサイト「金沢グルメのバイブル あすかの美味献立(びみこんりゅう)」「北陸·TOP100レストラン」運営。日本フードアナリスト協会認定1級フードアナリスト、SSI認定 国際利酒師
“レストランは文化の集積である”を旨趣に、日本の外食文化を世界に発信することに取り組む。能登出身、金沢在住。

https://food-japon.com/

小浦場 祥夫

さっぽろキズケア・アンチエイジング研究所 所長
一般社団法人日本ガストロノミー協会 理事

フリーランスの形成外科医として全国・海外で主にまぶたの手術を行い外面のアンチエイジングに関わるとともに、行く先々でローカルガストロノミーの発掘に勤しみ内面からのアンチエイジングも模索する。いずれも自然であること、素材の良さを活かしていることを最重視する。

超DXサミット統括責任者

山田 康昭

株式会社GiveFirst 代表取締役CEO / 超DXサミット統括責任者

37年間記者職を務めた日本経済新聞社を2020年に退職、GiveFirstを設立。2016年から続くFIN/SUMや2022年から始まった超DXサミットなどの日経SUMシリーズイベントを継続して統括する。一方で、国産木材の活用促進をテーマにした「木づかいシンポジウム」(2022年)や「Web3 Future」(2023年)なども共催。出身地である秋田県鹿角市の地方創生プロジェクトにも取り組む。

編集後記

アルバート・ボルグマン(Albert Borgmann)という米技術哲学者は、”Technology and the Character of Contemporary Life”(1984) という著書の中で、以下のような趣旨に言及しています。

「薪ストーブを使うことは,世界についての身体的な経験や,物理的なものとのかかわり,家族や友人のような他者とのかかわりといった,より多くの関与と技能を含んでおり,それゆえセントラルヒーティングや簡単に使える「装置」よりも好ましいのだ」(引用元:M. クーケルバーグ著『技術哲学講義』[丸善出版 2023/1/26]直江 清隆, 久木田 水生 監修,翻訳)

上記の内容を「食と技術」で捉え直してみると、僕は国内各所に展開されているセントラルキッチン方式で供給されるファストフードも好きですが(特に海外から戻った際の日本の牛丼チェーンの味は格別に感じたりします)、まさに上述のような家族や友人のような他者とのかかわりや、その土地での一期一会の食材との出会いを楽しめるような、薪ストーブ的な「地域における食と空間」も大好きです。

今回の超DXサミットで催された「超DX料理賞」には、僕のように食の情報に疎い人間でも知っているような有名店から、「え、この地域にそんなお店があったの?」という発見につながるようなところまで、実に多様なお店等が表彰されています。

今までは主に「温泉」(源泉掛け流し100%の温泉旅館等)を目的に地方へとワーケーションすることが多かったのですが、今後はこのような美食店も目的になってきそうです。まさに僕にとっては、今回の企画がデスティネーション・レストランに注目するきっかけになったと感じます。

(The WAVE編集長 長岡武司)

よかったらシェアしてね!

この記事を書いた人

人ひとりが自分な好きなこと、得意なことを仕事にして、豊かに生きる。 そんな社会に向けて、次なる「The WAVE」を共に探り、学び、創るメディアブランドです。

目次