OpenAI o1が話題になっていないのは戦略通り!「天才マーケター」サム・アルトマンに脱帽し、新しいスケール則の時代突入にワクワクした一週間(2024年9月19日配信版)

目次

本編動画

2024年9月19日に、以下の目次で「ほぼ週刊、AI動向のイマとミライ」動画を配信しました。

0:54 (序)なぜ「OpenAI o1」は“さほど”話題になっていないのか?
2:36 (1)今週のトピック紹介
3:51 (2)OpenAI o1が「GPT-5」「GPT Next」だと改めて強調したい、これだけの理由
17:23 (3)結論として、サム・アルトマンは「天才マーケター」
26:27 (4)OpenAI o1に対する著名技術者の反応は?
36:20 (5)その他、今週のニュース4選!
38:05 (6)答えを記憶する時代から、推論も記憶する時代へのパラダイムシフト
48:32 (7)ChatGPT 4oの時点で、専門研究者を凌駕!
52:56 (8)ポイントは小型原子炉3基!Oracleが1GW超えのデータセンター建設を予定
54:05 (9)OpanAIのAMA(Ask Me Anything)セッションで出た情報
59:13 (告知)湯川鶴章オンラインサロンのご案内!

各チャプターの概要は以下の通りです。

(序)なぜ「OpenAI o1」は“さほど”話題になっていないのか?  

(1)今週のトピック紹介  

(2)OpenAI o1が「GPT-5」「GPT Next」だと改めて強調したい、これだけの理由
・「GPT-5」「GPT Next」は「次の世代の大型進化モデル」という意味で使われてきた。論点は「OpenAI o1」が新しい世代に突入したと見なされる大型進化のモデルなのかどうか
・OpenAIo1の概要:論理的思考が可能になった
・以前からのAltman氏の発言「論理的思考が次の大きな進化」+OpenAIのAI進化のロードマップ「まもなく論理的思考の時代」
・論理的思考を持ったOpenAI o1が「GPT-5」「GPT Next」と呼ばれていた大型進化であることは間違いない。ではなぜ、あまり大きな話題になっていないのか? →「考えるAIは怖い」という反発を2023年11月時点で経験したためと思われる
・「より怖いのは、AIによる一人一人に対する説得行為だ。明らかに分かるような形で説得してくるのではなく、知らない間に納得させられてしまっているような働きがけが可能。それが大きな問題になるのではないかと思う。」
・このような背景から「最新モデルの発表で、社会を驚かせたくない」と考えるようになった
・実際のSam Altman氏のインタビューの様子を確認  

(3)結論として、サム・アルトマンは「天才マーケター」
・「すごい進化」と投資家に思ってもらいたい一方で、一般世論には「あまりすごくない」と思われたい。相反するメッセージをどう出していくか →①より細かくモデルを発表し続ける、②名称を変える、③最初は機能を限定する、④GPT-5を別にリリースする
・結果、多くのメディアは今回の発表が大きなパラダイムシフトとは思っていない(少なくとも積極的に報じていない)
・X(旧twitter)上のAIモデル「Grok2」でXでの反響・世論をまとめてもらったところ、英語世論は「o1」を「AIにおける重要な進化」とみなし、日本語世論は「GPTシリーズとは別の進化」とみなしている。Altman氏のマーケティング施策が、日本語の一般ユーザーにより効いている
・Altman氏のマーケティング施策は大成功と言える。過去のマーケ戦略も秀逸で、Altman氏は超優秀なマーケター  

(4)OpenAI o1に対する著名技術者の反応は?
・英語圏の著名技術者たちは軒並み絶賛
・データジャーナリスト・Maxim Lott氏の反応が面白い。「IQ テストの結果から判断すると、OpenAI の新しい o1 モデルは AI 知能における大きなブレークスルーです。 ノルウェーのメンサIQテストを受けたところ、他のAIを圧倒する結果が出ました。」
・今までのAIとOpenAIの違いについて
・「底辺が5cm、高さが2cmの三角形の面積」を問うた場合の、従来のAIとOpenAI o1の違い
・これまでのスケール則と、OpenAI o1以降の「考えるAI」時代の新しいスケール則の違い
・経営層と違い、OpenAIのエンジニアはOpenAI o1を「パラダイムシフト」だと表現  

(5)その他、今週のニュース4選!
・Appleがスマホユーザーの意図を理解する技術の論文
・AI推進で米国官民協力体制
・フェイフェイ・リー氏が新ベンチャーで「空間知能」
・評価額1500億ドルでOpenAIが65億ドルの資金調達中  

(6)答えを記憶する時代から、推論も記憶する時代へのパラダイムシフト
・OpenAI o1は新しいスケーリング パラダイムと言える
・推論実行にあたって巨大なモデルが不要(知識と推論を分離、知識は検索等のツールに外出しして獲得)+碁の一手を探すような探索力がある+膨大な量の計算が事前/事後学習から推論の処理にシフト+o1(Strawberry)はデータフライホイール(AIぐるぐるモデル)になる  

(7)ChatGPT 4oの時点で、専門研究者を凌駕!
・GPT-4oの時点で、LLM によって生成されたアイデアが、熟練した人間の研究者によって書かれたアイデアよりも斬新だったのが統計的に有意だった
・科学論文の「レビュー」でも専門家に勝利(4o世代で)
・前のモデルでこのレベルなので、o1だとさらに伸びる可能性がある
・知能爆発が近いかも  

(8)ポイントは小型原子炉3基!Oracleが1GW超えのデータセンター建設を予定
・AI需要の急増に向けて電力がボトルネックになっていたが、米国では原発推進に舵を切り、結果として小型モジュール式原子炉(SMR)を3基使用したデータセンター計画を発表
・世界最大級のAIコンピューティング能力を持つデータセンターを目指す

(9)OpanAIのAMA(Ask Me Anything)セッションで出た情報
・モデルの名称と推論パラダイムから今後の予定まで
・マルチモーダル機能の実装によって最先端の性能を目指す
・思考の連鎖(CoT)に関しては非公開 ・暗号解読や哲学的な問いへの対応 →ブッダみたいになっていかないのか

登壇者情報

遠藤 太一郎

株式会社カナメプロジェクト CEO
国立大学法人東京学芸大学 教育AI研究プログラム 准教授

AI歴25年。18歳からAIプログラミングを始め、米国ミネソタ大学大学院在学中に起業し、AIを用いたサービス提供を開始。AIに関する実装、論文調査、システム設計、ビジネスコンサル、教育等幅広く手がけた後、AIスタートアップのエクサウィザーズに参画し、技術専門役員としてAI部門を統括。上場後、独立し、現在は株式会社カナメプロジェクトCEOとして様々なAI/DAO/データ活用/DX関連のプロジェクトを支援する。国際コーチング連盟ACC/DAO総研 Founder等

https://kaname-prj.co.jp/

湯川 鶴章

株式会社エクサウィザーズ AI新聞 編集長

米カリフォルニア州立大学サンフランシスコ校経済学部卒業。サンフランシスコの地元紙記者を経て、時事通信社米国法人に入社。シリコンバレーの黎明期から米国のハイテク産業を中心に取材を続ける。通算20年間の米国生活を終え2000年5月に帰国。時事通信編集委員を経て2010年独立。2017年12月から現職。主な著書に『人工知能、ロボット、人の心。』(2015年)、『次世代マーケティングプラットフォーム』(2007年)、『ネットは新聞を殺すのか』(2003年)などがある。趣味はヨガと瞑想。妻が美人なのが自慢。

https://community.exawizards.com/aishinbun

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この記事を書いた人

人ひとりが自分な好きなこと、得意なことを仕事にして、豊かに生きる。 そんな社会に向けて、次なる「The WAVE」を共に探り、学び、創るメディアブランドです。

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