本編動画
2024年10月26日に、以下の目次で「ほぼ週刊、AI動向のイマとミライ」動画を配信しました。
1:00 (1)今週の概観と、ジャーナリストの視点&エンジニアの視点
4:24 (2)ルールエンジンの時代から「目的とガードレール」の時代へ
15:23 (3)RAGやファインチューニングは概して著しく非効率
26:58 (4)Sierraでは「監督エージェント」が各エージェントを監視している!?
40:55 (5)Microsoftが自律型エージェント作成機能を発表
48:27 (6)自己進化するAIシステムの時代に突入してきた
各チャプターの概要は以下の通りです。
(1)今週の概観と、ジャーナリストの視点&エンジニアの視点
(2)ルールエンジンの時代から目的とガードレールの時代へ
・Facebook CTOや元Twitterの取締役会会長、Salesforce 共同CEO、OpenAI 会長など、錚々たる経歴を持つBrad Taylor氏が立ち上げたAIエージェント企業「Sierra」は、企業が顧客とコミュニケーションをとるために使うAIエージェントを開発する会社
・産業界のエージェント定義3パターン:パーソナルエージェント、特化型エージェント、カンパニーエージェント
・Microsoft発表のエージェントは「内向き」なのに対して、Sierraのエージェントは「外向き」。自社サイトを持つように自社エージェントを持つのが当たり前になる時代を見越して、既存の技術でも実現可能なカンパニーエージェントを開発・提供している
・カスタマーサービスから始まって、2〜3年後には企業のあらゆるタスクに導入されるだろうとのこと
(3)RAGやファインチューニングは概して著しく非効率
・顧客が求めているのは、RAGやファインチューニングで「質問に答えてくれるチャットボット」より、「行動してくれるAIエージェント」
・AIのふるまいをどの程度コントロールすべきかは、AIのブランドイメージに関わる難しい問題。創造性を持たせながら、ガードレールで発言をコントロールするという挑戦
・プロンプトエンジニアリングやプロンプトエンジニアリングのツールは、基盤モデルが進化することで不要になる。そういう領域は危険。一方でデータベースマイグレーションなどの退屈なタスクは有望
・AI時代のSaaSベンダーでは成果報酬型の課金モデルにしているところが増えてきている
(4)Sierraでは「監督エージェント」が各エージェントを監視している!?
・法務、プログラミング、セールスの他で有望な領域は、バックオフィスアナリストなどが挙げられる
・エージェントは、社会状況がどんどんと変化する中で顧客のことをよく知るツールであると同時に、新たな顧客体験を作り出す方法にもなる
・Sierraでは「監督エージェント」というモデルを作って、他のモデル(エージェント)の口調や話す内容を監視させている
(5)Microsoftが自律型エージェント作成機能を発表
・Microsoftは10月21日、Copilot Studioに自律型エージェント作成機能を追加予定だと発表し、11月にパブリックプレビューが開始する予定
・McKinsey & Companyはすでに同機能を使って収益増加やコスト削減を進めている
・自然言語で指示することで自律的なアクションを実行してくれる。SAPやSalesforceとも連携可能
・こちらの機能も目的とガードレールを設定して実現している
・スタートアップがエージェント領域で戦おうとした時、特化型エージェントが可能性のある領域と思われる。Microsoftがやってこなさそうなドメインに特化するのが望ましい
(6)自己進化するAIシステムの時代に突入してきた
・AIは広大な情報の海の中から、興味深い情報をピックアップする力を持ち始めている
・AIはたくさんのデータを基にして、新しい「バリエーション」やアイデアを生み出すことが得意になってきている
・この2つを組み合わせると自己改善システムが生まれる。AIは「面白いもの」を選び出し、新しいアイデアを作り出し、それを自分で試して学びながら進化していく、という段階に近づいている。
・元になっている論文は「OMNI-EPIC」
個別テーマ解説動画
また、各テーマに分割した動画も配信しました。興味のあるトピックに応じてご覧ください。
RAGやファインチューニングは超非効率。AIエージェント開発で先行するSierra社のCEOインタビューより
0:00 AIエージェント開発企業・Sierraとは
3:00 自社サイトを持つ感覚でカンパニーエージェントを持つ時代
10:55 RAGやファインチューニングは概して著しく非効率
15:14 AIの創造性/主体性をどの程度コントロールすべきか
18:00 基盤モデルがやってきそうなビジネス領域は危険
20:35 AI時代のSaaSベンダーは「成功報酬型」の課金モデルが多い
22:29 次の注目ビジネスドメインは「バックオフィス分析」か
26:31 AIエージェントは新たな顧客体験を作るツール
28:28 Sierraでは「監督エージェント」が各エージェントを監視している
31:17 ユーザーは答えを求めているのではなく、行動を求めている
※サムネイル画像はIndra AbdurrahmanによるPixabay画像を活用
すでに「自己進化するAIシステム」の条件は整っていると思われる
0:00 すでにAIには「自己改善」のためのキホンが備わっている
3:16 元になっている論文「OMNI-EPIC」で書かれるタスク設定の塩梅
※サムネイル画像はHanna VelによるPixabay画像を活用
登壇者情報
遠藤 太一郎
株式会社カナメプロジェクト CEO
国立大学法人東京学芸大学 教育AI研究プログラム 准教授
AI歴25年。18歳からAIプログラミングを始め、米国ミネソタ大学大学院在学中に起業し、AIを用いたサービス提供を開始。AIに関する実装、論文調査、システム設計、ビジネスコンサル、教育等幅広く手がけた後、AIスタートアップのエクサウィザーズに参画し、技術専門役員としてAI部門を統括。上場後、独立し、現在は株式会社カナメプロジェクトCEOとして様々なAI/DAO/データ活用/DX関連のプロジェクトを支援する。国際コーチング連盟ACC/DAO総研 Founder等
湯川 鶴章
株式会社エクサウィザーズ AI新聞 編集長
米カリフォルニア州立大学サンフランシスコ校経済学部卒業。サンフランシスコの地元紙記者を経て、時事通信社米国法人に入社。シリコンバレーの黎明期から米国のハイテク産業を中心に取材を続ける。通算20年間の米国生活を終え2000年5月に帰国。時事通信編集委員を経て2010年独立。2017年12月から現職。主な著書に『人工知能、ロボット、人の心。』(2015年)、『次世代マーケティングプラットフォーム』(2007年)、『ネットは新聞を殺すのか』(2003年)などがある。趣味はヨガと瞑想。妻が美人なのが自慢。