本編動画
2025年5月3日に、以下の目次で「ほぼ週刊、AI動向のイマとミライ」動画を配信しました。
1:01 (1)アリババの最新オープンソースLLM「Qwen3」と、Meta・Mark Zuckerberg氏の反応
6:43 (2)今週の概観と、ジャーナリストの視点
8:44 (3)OpenAIの現在の売上状況と、「帝国」に向けたChatGPT以外の儲け方
16:22 (4)今後のOpenAIの売上の柱となる「エージェント」はこうなる!?
23:00 (5)新たな収入源は?
31:15 (6)AI進化のロードマップと超高額エージェント
36:13 (7)主要パートナーはMicrosoftからソフトバンクに
45:07 (8)ロボット、半導体、ブラウザ、SNSなども収益柱の候補か
57:29 (9)AI時代に大学教育は不要?
各チャプターの概要は以下の通りです。
(1)アリババの最新オープンソースLLM「Qwen3」と、Meta・Mark Zuckerberg氏の反応
(2)今週の概観と、ジャーナリストの視点
(3)OpenAIの現在の売上状況と、「帝国」に向けたChatGPT以外の儲け方
・なぜソフトバンクが、OpenAIには2600億ドルの価値があると思うのか?
・OpenAIの2024年の売上は37億ドル、前年比約4倍。今後4年で10倍近い売り上げを目指す
・今年の推論コストは前年比3倍の約60億ドル。2030年には470億ドル。増加率はプロンプトキャッシングなどが奏功し減少し2030年には前年比30%増に。粗利率は昨年40%、2029年は70%
https://www.theinformation.com/articles/openai-forecasts-revenue-topping-125-billion-2029-agents-new-products-gain
・ChatGPTの有料ユーザーが急増中。3カ月で25% 増加
https://www.theinformation.com/articles/chatgpt-revenue-surges-30-just-three-months
・ChatGPT以外の儲け方:APIよりエージェントで稼ぐ。今年のエージェント売上高は30億ドル、2029年には290億ドル。同社の売上の20%〜25%がエージェント製品から得られるようになると予測
(4)今後のOpenAIの売上の柱となる「エージェント」はこうなる!?
・OpenAIの幹部は一部投資家に対し語ったところによると、①低レベルのエージェントを月額2000ドルで高収入の知識労働者向けに販売、②ソフトウェア開発用の中レベルのエージェントを月額1万ドルで販売、③博士レベルの研究ができる高レベルのエージェントを月額2万ドルで販売する計画を検討中
https://www.theinformation.com/articles/openai-plots-charging-20-000-a-month-for-phd-level-agents?rc=qgaeex
・The Informationのコラムニストによると、新しいアイデアを生むAIモデルとロボットの組み合わせが月額2万ドル以上の価値になるとしているが、中国オープンソースの登場でこの計画に影響あるのか?
・中国の動向を踏まえると、モデルの優劣だけでなく計算資源の整備が勝負になってきている
(5)新たな収入源は?
・新たな収入源からの売上は来年から計上され、2029年には250万ドルになるとのことで、広告が一つの可能性か?ただしサム・アルトマン氏は広告があまり好きではない発言をしており、「今のところ、広告よりも優れた収益化戦略はたくさんあると考えています。」としている
https://stratechery.com/2025/an-interview-with-openai-ceo-sam-altman-about-building-a-consumer-tech-company/
・Perplexityでは、「Related」とタイトルで表示される関連質問のトップに広告主に関連する質問が「sponcered」という表示付きで掲載される。信憑制のある妥当なインデックスをLLMが判断できるかがポイント。「ユーザーの利便性を犠牲にしてランキングを上げるために恣意的な戦略を駆使するSEO業界の二の舞にはなりたくありません」
https://www.perplexity.ai/hub/blog/why-we-re-experimenting-with-advertising
・Operatorを通じたアフィリエイトの可能性。ただし、ソースがアフィリエイトだとユーザーの真のニーズを満たせるのかという問題もあり
(6)AI進化のロードマップと超高額エージェント
・AI進化のロードマップを踏まえると、超高額エージェントは第3段階(エージェント)か、第4段階(イノベーター)か
※参考:OpenAI リサーチャーのKarina Nguyen氏の考え
https://www.youtube.com/watch?v=311oYNfRWbc
・基本は三位一体戦略:①プロダクト、②推論スタック、③最先端AIの研究開発。特に②が重要になってきている印象
(7)主要パートナーはMicrosoftからソフトバンクに
・ソフトバンクなどから400億ドルの資金調達。評価額は昨年秋から73%増の2600億ドル OpenAIとソフトバンクは、Cristal Intelligenceというブランド名でChatGPTの企業向けバージョンとOpenAIのAPIを日本企業向けに独占的に販売する合弁会社を設立。
・それとは別に、ソフトバンクは年間30億ドルをOpenAIに支払う契約。 両社は米国のAIインフラを構築するStargete Projectにまずは1000億ドル、さらに4000億ドルを投入する計画
https://www.theinformation.com/briefings/softbank-pledges-to-spend-3-billion-annually-on-openai?rc=qgaeex
・今後、MicrosoftのデータセンターからStargateのデータセンターに移行予定。テキサス州に数十万台のGPUを持つ1ギガワットのデータセンター1カ所と契約。最終的に5000億ドルが必要。資金集めはソフトバンクが担当
https://www.theinformation.com/articles/openai-forecast-shows-shift-from-microsoft-to-softbank
・ソフトバンクの考えるAI「Cristal Intelligence」とは。「AIエージェントの次の鍵は長期記憶にある」「Cristal Intelligenceは企業内の情報を全読み」企業にカスタマイズされたAI。「1業種1社から始める」「まずは日本からAGIが始まる」(孫正義氏)
https://www.softbank.jp/sbnews/entry/20250204_02
・Cristal Intelligenceのロードマップを見ると、これがOpenAIのロードマップの第5段階の「組織」ではないか?
(8)ロボット、半導体、ブラウザ、SNSなども収益柱の候補か
・OpenAIは、Figure、Physical Intelligence、1X Technologiesなどのロボット系スタートアップにも投資。4年前に解散したロボット工学ソフトチームを再結成。ただ優先度は低い
https://www.theinformation.com/articles/openai-has-discussed-making-a-humanoid-robot
・GoogleのTPUの開発メンバーを雇用。TSMCなどの半導体メーカーと協議したが、同社のCC Wei氏は「大胆すぎて信じられない」とコメント。Broadcom他、半導体メーカーと何度も協議
https://www.theinformation.com/articles/openai-has-talked-to-broadcom-about-developing-new-ai-chip
・Googleに対する独禁法違反裁判でOpenAIのChatGPT製品担当の重役Nick Turley氏は、GoogleがChromeの売却を命じられたらGoogleからChromeを買う意思がある、と答える
https://www.theinformation.com/articles/openai-buy-chrome-executive-testifies
・ChatGPT上でのTwitterのようなSNSを開発中。まだ試作品段階。開発コード名は「Yeet」
https://www.theverge.com/openai/648130/openai-social-network-x-competitor
・Sam Altman氏と元AppleのJony Ives氏が共同で消費者向けAIネイティブ機器も開発中
https://www.theinformation.com/articles/openai-discussed-buying-jony-ive-sam-altmans-ai-device-startup
(9)AI時代に大学教育は不要?
・大卒の米若者の51%が「大学はお金の無駄」
https://www.indeed.com/career-advice/news/college-degree-value-generational-divide
・米企業も大卒資格を求めなくなってきた
https://www.hiringlab.org/2024/02/27/educational-requirements-job-postings/
・米大統領令で小中学校のAI教育を強化
https://www.whitehouse.gov/fact-sheets/2025/04/fact-sheet-president-donald-j-trump-advances-ai-education-for-american-youth/
個別テーマ解説動画
また、各テーマに分割した動画も配信しました。興味のあるトピックに応じてご覧ください。
OpenAI「帝国」への道。なぜソフトバンクは、OpenAIに2,600億ドルの価値を見出したのか
0:00 OpenAIがこれから、様々な事業を手広く手がける一大帝国になろうとしている
2:29 今年の売上は130億ドル、4年後に1,250億ドル
5:04 ChatGPTの有料ユーザー急増の一方で、ChatGPT以外の儲け方への比重が今後増えていく
8:48 超高額エージェントへの期待と、中国オープンソースの影響
15:26 広告モデルが好きではないサム・アルトマン氏の次なる一手は?
23:41 基本は三位一体戦略だが、推論スタックの重要性が増している印象
28:39 主要パートナーはMicrosoftからソフトバンクへ
30:50 ソフトバンクが考える「Cristal Intelligence」が、OpenAIによる進化ロードマップの最終段階か?
37:32 ロボットや半導体への投資
40:59 GoogleからChromeを買う意思あり
42:07 TwitterのようなSNSを開発中
43:14 元Apple・Jony Ives氏との消費者向け機器の開発
46:31 多様な新商品が次なる収益源候補
※サムネイル画像は晨晖 王によるPixabay画像を活用
どうなる、AI時代の大学教育
0:00 大卒の米若者の51%が「大学はお金の無駄」と回答し、米企業も大卒資格を求めなくなってきた
2:33 これから大学教育は不要になるのか?
※サムネイル画像はCindy ParksによるPixabay画像を活用
登壇者情報

遠藤 太一郎
株式会社カナメプロジェクト CEO
国立大学法人東京学芸大学 教育AI研究プログラム 教授
AI歴25年。18歳からAIプログラミングを始め、米国ミネソタ大学大学院在学中に起業し、AIを用いたサービス提供を開始。AIに関する実装、論文調査、システム設計、ビジネスコンサル、教育等幅広く手がけた後、AIスタートアップのエクサウィザーズに参画し、技術専門役員としてAI部門を統括。上場後、独立し、現在は株式会社カナメプロジェクトCEOとして様々なAI/DAO/データ活用/DX関連のプロジェクトを支援する。国際コーチング連盟ACC/DAO総研 Founder等

湯川 鶴章
株式会社エクサウィザーズ AI新聞 編集長
米カリフォルニア州立大学サンフランシスコ校経済学部卒業。サンフランシスコの地元紙記者を経て、時事通信社米国法人に入社。シリコンバレーの黎明期から米国のハイテク産業を中心に取材を続ける。通算20年間の米国生活を終え2000年5月に帰国。時事通信編集委員を経て2010年独立。2017年12月から現職。主な著書に『人工知能、ロボット、人の心。』(2015年)、『次世代マーケティングプラットフォーム』(2007年)、『ネットは新聞を殺すのか』(2003年)などがある。趣味はヨガと瞑想。妻が美人なのが自慢。