本編動画
2025年1月2日に、以下の目次で「ほぼ週刊、AI動向のイマとミライ」動画を配信しました。
1:24 (1)2024年を振り返って(ジャーナリストとエンジニア、それぞれの視点)
6:14 (2)2024年のAI進化を踏まえると、2025年にAIの進化は「加速する」と思われる
22:56 (3)AIを現場で触っている人しか未来を読むことができない
30:47 (4)AIが進化するにつれ、メディア企業の復権が考えられる
36:52 (5)ジャーナリストとして、このYouTubeが楽しくて仕方ない
43:20 (6)改めてモデル進化の変遷を辿りながら、知能爆発への道のりを考える
1:15:19 (7)2025年は「AGI」が流行語になるかも!?
各チャプターの概要は以下の通りです。
(1)2024年を振り返って(ジャーナリストとエンジニア、それぞれの視点)
(2)2024年のAI進化を踏まえると、2025年にAIの進化は「加速する」と思われる
・AIが指数関数的に進化する理由:
①ハードとソフトの相乗効果(「ハード(半導体、コンピューター)がソフト(AI)を進化させ、ソフト(AI)がハード(半導体)を進化させている」「NVIDIAのGPUの性能は8年間で1000倍になっている」 by. Jensen Huang氏)
※参考:GTC March 2024 Keynote with NVIDIA CEO Jensen Huang, NVIDIA
https://www.youtube.com/live/Y2F8yisiS6E?si=FEZdj3m5q9RpavLu&t=2447
②スケーリング則(モデルの予測精度が、計算リソース、データセット規模、モデル規模という3変数のべき乗則に従う)
※参考:SITUATIONAL AWARENESS: The Decade Ahead, Leopold Aschenbrenner,,
https://situational-awareness.ai/
・一方でガートナーによるハイプサイクルの考え方もあり、幻滅期に入ったという意見もある
・シンギュラリティまで突き進むのか、それとも幻滅期なのかという議論がある中で、幻滅期報道の3週間後にOpenAIが「o1」シリーズを発表。「ものしりのAI」から「考えるAI」へと進化し、幻滅期論は間違いに
・推論のスケーリング則への期待も高まる
※参考:OpenAI’s Noam Brown, Ilge Akkaya and Hunter Lightman on o1 and Teaching LLMs to Reason Better
https://www.youtube.com/watch?v=jPluSXJpdrA&t=1851s
・半導体業界アナリストのDylan Patel氏は「半導体への投資と、合成データ、推論時の進化で、今後半年から1年の進化は、過去1年の進化よりも速い」と説明
※参考:AI Semiconductor Landscape feat. Dylan Patel | BG2 w/ Bill Gurley & Brad Gerstner
https://youtu.be/QVcSBHhcFbg?si=YfbL8p2_pvVaWhHh&t=1981
・シンギュラリティに入ったかどうかは分からないけど、少なくとも2025年にAIの進化は加速すると思われる
(3)AIを現場で触っている人しか未来を読むことができない
・OpenAIの中の人でさえ、AIの進化のスピードや方向を読むことが難しいと発言しているので、最先端の現場で触っていない人の予測は「憶測」でしかない
・OpenAIのCPO(プロダクト責任者)Kevin Weil氏の発言
https://www.youtube.com/live/-cq3O4t0qQc?si=eKdJ4WiCNvxJKE0K&t=975
・OpenAIのCEO・Sam Altman氏の発言
https://www.youtube.com/live/-cq3O4t0qQc?si=3et9cK0m-zf5oq9d&t=1036
https://www.youtube.com/live/-cq3O4t0qQc?si=LxyRP1nHmpFJcqdA&t=1120
※いずれも同じ動画(開始時間が異なる)
・「超知能が誕生する前に対処法を考えるべきだという主張もあるが、AIが次にどのような能力を身につけてくるのか分からない中で、次の能力の兆しが見えてきた段階で対処方法を開発するというやり方が現実的だと思う。今の安全性の課題は、2年前に想定していたものとはまったく別物だし、2年前に想定していた対処方法で、今日の課題は一向に解決しないからだ。一方で未来に対する想像力も必要。目の前の課題に対する取り組みと、長期的未来の安全性に対する取り組みの両方からAIの安全性に取り組むべきだと思う」by. Sam Altman氏
(4)AIが進化するにつれ、メディア企業の復権が考えられる
・質の悪いコンテンツを量産するためにAIを使うのではなく、AIを使ってコンテンツの質を高めてほしい
・OpenAIで英語で質問するのと日本語で質問するのでは、回答の質が違う。OpenAIは英語圏ではメディア企業との提携を進めているので、大手メディアの記事を参考情報として出すことが多いが、日本語の場合はそのような取り組みは進んでおらず、AIに欠かせたような記事も多く出てくる印象
・今後、AIの情報ソースのクオリティの観点から、メディア企業の復権が考えられる
・今はYouTubeの方が、コンテンツの質が高くわかりやすい印象
・ChatGPT searchがどのような仕組み・基準で情報ソースの判断を行っているのか分からないので、SEO(Search Engine Optimization)に代わるこれからのAEO(Answer Engine Optimization)のやり方がまだ見えてこない
(5)ジャーナリストとして、このYouTubeが楽しくて仕方ない
(6)改めてモデル進化の変遷を辿りながら、知能爆発への道のりを考える
・まずはGPTモデルのリリース(2019年のGPT-2以降)を振り返る
・生活を振り返ると、なんでもChatGPTに聞くようになってきた。パラダイムが変わってきた印象
・進化の加減によって人間の役割も変わってくる。今のところ最新の情報をリサーチしてまとめる部分は人間に部があると感じる。一方で2年くらい前の情報をまとめるとなると、ほぼ完璧にこなしてくれる
・モデルの賢さに関する変化のグラフ
※参考:AI Engineer World’s Fair 2024 – Keynotes & Multimodality track
https://www.youtube.com/watch?v=vaIiNZoXymg&t=26626s
・o3の賢さを表す「ARC-AGI-Pub Score」。GPT-3 のスコアは 0、GPT-4 はほぼ 0、GPT-4o は 5%だったのが、o1で25〜32%、o3で75〜88%にまで飛躍している
※参考:OpenAI o3 Breakthrough High Score on ARC-AGI-Pub
https://arcprize.org/blog/oai-o3-pub-breakthrough
・上ブログでは、o3ではAlphaZero スタイルのモンテカルロ木探索とそれほど変わらない方法で実現しているのではないかと推測している
・Demis Hassabis氏は2023年6月のインタビューで、DeepMind がまさにこのアイデアを研究していたことをほのめかしていた。また2004年末のGoogle社内の講演でCEOのSundar Pichai氏も「来年Googleは大きく進化する」とコメントしている
・Ilya Sutskever氏の印象的なXポスト「もしあなたが人間の最大の価値は頭のよさだと思うのなら、これから大変な時代になると思うよ」
※参考:https://x.com/ilyasut/status/1710462485411561808?lang=ja
・Chatbot Arena Scoreを見ると、OpenAIだけでなくGoogleのGeminiも上位を占めている。一方でAnthropicのスコアが意外と低い。頭の良さと人にとっての使いやすさは必ずしも比例しない印象
・OpenAIの考えるAIの5段階進化は、「モデルの進化」と「UI/UXの進化」が交互に進むように見受けられる
・知能爆発への道のり:①博士号レベルの人間と同等の問題解決能力の獲得(済)、②ユーザーの代わりに長時間にわたって自律的に行動できるAIエージェント(2025年)、③AIによるAI研究 – 100万人のAI研究者
(7)2025年は「AGI」が流行語になるかも!?
・ユーザー目線:OpenAI Operator を皮切りに汎用型の自律エージェントが提供開始され、高度な音声モード/ビデオモードと連携し、リモートワーカーと区別がつかなくなっていく。この段階で、多くの人はAGIと感じるようになる。「AGI」が流行語に!
・a16z(米VCのアンドリーセン・ホロウィッツ)は、エージェントはAPI型ではなくRPA型になっていくと断言しているのが面白い。エージェントがツールを使える点がポイントと言えそう
・その裏で、汎用型の自律エージェントがAIの研究を進め、2025〜26年を目処にモデルが「発明家」の段階まで到達し、それによりパワフルAIが実現していく ※パワフルAIについての解説動画
https://youtu.be/lBfb5InfQsw
個別テーマ解説動画
また、各テーマに分割した動画も配信しました。興味のあるトピックに応じてご覧ください。
2025年は「AGI」が流行語になるかもしれない!?
0:00 2025年、エージェントはRPA型になっていくと考えられる
2:16 リモートワーカーとの区別がつかなくなり、多くの人はAGIと感じるようになる
5:46 パワフルAIへの道
※サムネイル画像はPeri PriatnaによるPixabay画像を活用
2024年末までのモデル進化の変遷を辿りながら、「知能爆発」への道のりを考える
0:00 GPTモデルのリリース(2019年のGPT-2以降)を振り返る
6:25 AI進化の加減によって人間の役割も変わってくる
11:11 「ARC-AGI-Pub Score」を眺めながらo3の仕組みを考える
20:21 人間の最大の価値が頭のよさだと思うのなら、これから大変な時代になる
23:29 Chatbot Arena Scoreを見ると、Geminiが健闘している
26:34 AIの5段階進化は「モデルの進化」と「UI/UXの進化」が交互に進む!?
28:48 知能爆発への道のり
※サムネイル画像はStephaneによるPixabay画像を活用
AIが進化するにつれ、メディア企業の復権が考えられる
0:00 この1年でAIを使った「手抜き仕事」が一気に増えてきた印象
1:59 AIの情報ソースのクオリティの観点から、メディア企業の復権が考えられる
3:40 まだまだAEO(Answer Engine Optimization)のやり方は見えてこない
※サムネイル画像はGerd AltmannによるPixabay画像を活用
登壇者情報
遠藤 太一郎
株式会社カナメプロジェクト CEO
国立大学法人東京学芸大学 教育AI研究プログラム 准教授
AI歴25年。18歳からAIプログラミングを始め、米国ミネソタ大学大学院在学中に起業し、AIを用いたサービス提供を開始。AIに関する実装、論文調査、システム設計、ビジネスコンサル、教育等幅広く手がけた後、AIスタートアップのエクサウィザーズに参画し、技術専門役員としてAI部門を統括。上場後、独立し、現在は株式会社カナメプロジェクトCEOとして様々なAI/DAO/データ活用/DX関連のプロジェクトを支援する。国際コーチング連盟ACC/DAO総研 Founder等
湯川 鶴章
株式会社エクサウィザーズ AI新聞 編集長
米カリフォルニア州立大学サンフランシスコ校経済学部卒業。サンフランシスコの地元紙記者を経て、時事通信社米国法人に入社。シリコンバレーの黎明期から米国のハイテク産業を中心に取材を続ける。通算20年間の米国生活を終え2000年5月に帰国。時事通信編集委員を経て2010年独立。2017年12月から現職。主な著書に『人工知能、ロボット、人の心。』(2015年)、『次世代マーケティングプラットフォーム』(2007年)、『ネットは新聞を殺すのか』(2003年)などがある。趣味はヨガと瞑想。妻が美人なのが自慢。