GPT-4.1発表やLlama 4炎上ニュースをチェックし、来たるマルチエージェント時代を分析しながら、AI 2027レポート執筆リーダーへのインタビューを確認した一週間(2025年4月19日配信版)

目次

本編動画

2025年4月19日に、以下の目次で「ほぼ週刊、AI動向のイマとミライ」動画を配信しました。

1:07 (1)今週の外観と、ジャーナリストの視点
2:28 (2)AI 2027レポートの執筆リーダー・Daniel Kokotajlo氏へのインタビュー
26:34(3)AI 2027レポートに対する好意的な/批判的な反応
39:05 (4)AIを取り巻くMCPエコノミー拡大中
49:48 (5)Llama 4が炎上!
51:34 (6)直近でリリースされた「GPT-4.1」の実力
55:28 (7)Googleの勝利を宣言する有識者が続出!Gemini 2.5シリーズの評価が抜群に高い

各チャプターの概要は以下の通りです。

(1)今週の外観と、ジャーナリストの視点  

(2)AI 2027レポートの執筆リーダー・Daniel Kokotajlo氏へのインタビュー
・前回のAI2027概観の復習。遠藤さんはこの内容を「未来予測」ではなく「警鐘」と捉えている
・レポート執筆リーダーのOpenAI元研究者・Daniel Kokotajlo氏が「人類が滅亡する可能性は70%」とインタビューで発言。一方、同じ執筆チームのScott Alexander氏(影響力の高いブログ「Slate Star Codex」と「Astral Codex Ten」の著者)は、滅亡確率は20%と発言
・質問①「大事なのはリサーチエージェントの質と数だけ?データの多様性がAIの進化により大きな影響を与えるのでは?」
・質問②「無数のAIエージェントからなる非常に賢いAIエージェント群が効率よくコラボできるのだろうか?」
・質問③「過去の歴史上の発見、発明を見ると、突然起こっていることが多い。どうしてAIは順序正しく進化すると思うのか?」
・質問④「LLMの進化でミスアライメントの問題はある程度解決されたのでは?詳しく説明しなくても人間の意図をよりよく理解できるようになってきている」
・質問⑤「AIは悪意を持って嘘をついているわけではないのでは?」
・質問⑥「ナノボットが広く普及するなど、いろいろなことが予測されているが、本当にそんなことが全て起こるのか?」
・質問⑦「2028年にASI誕生後に富の再分配はどうなる?UBI?」  

(3)AI 2027レポートに対する好意的な/批判的な反応
・好意的な反応例
https://x.com/Yoshua_Bengio/status/1907932100332044688
https://www.marketingaiinstitute.com/blog/ai-2027
https://x.com/nnevvinn/status/1908393119424614677
・批判的な反応例
https://x.com/robinhanson/status/1908454019833442448
https://daveshap.substack.com/p/common-bad-takes-in-ai-safety-a-response
・批判的な反応①:科学的な主張ではない。進化速度を予測するに当たって検討した進化に必要な3つの要素は「Research Taste」「研究者の研究速度」「計算資源」。「1と3に関しては、指数関数的な伸びは期待できないので、進化予測は2を中心に行った」(Daniel Kokotajlo氏)
・批判的な反応②:AIは自分で自分を永遠に改良し続けられるのか。Deep Researchの回答より
https://www.reddit.com/r/slatestarcodex/comments/1ju4wjc/an_aigenerated_critique_of_project_ai_2027/
・より議論したいこと①:どっちのシナリオでも結果は同じという遠藤さんの意見の理由は?
・より議論したいこと②:オープンソースが強くなってきているけど、それはどう関係しそうなのか?  

(4)AIを取り巻くMCPエコノミー拡大中
・Anthropic発表のMCP(Model Context Protocol)に、AI各社が次々と準拠。OpenAIは3/26にOpenAI Agents SDKをリリースし、同時にMCP準拠を発表。Googleも4/9にエージェントプロトコルA2Aを発表し、MCPに準拠
・マルチエージェント=エージェント型AIシステム(Agentic AI system)
・エージェント型AIシステム:個々のまたは共有された目標を達成するために相互作用し、協調する複数の自律的なAIエージェントで構成されるシステム。通常は、独自の能力と意思決定力を持つソフトウェアで、単一のAIでは効果的に処理できない複雑な問題を解決するために、共有の環境内で連携して動作する
・最近の一般的なAIエージェントの定義:AIモデル+メモリ+ツール
・エージェント間のやりとり:コミュニケーション、コーディネーション、コラボレーション
・コミュニケーションプロトコル:MCPはアプリケーションがコンテキスト(データとツール)をLLMに提供する方法を標準化し、モデルと外部システム間の安全な双方向接続を可能にするなど、LLMと外部データソースおよびツールの統合に焦点を当てている。A2A(Agent2Agent)はGoogleのオープンプロトコルで、AIエージェントがツール、サービス、エンタープライズシステム間で安全な情報交換と協調的なアクションを可能にする方法を標準化するなど、インテリジェントエージェント間のコーディネーションに焦点を当てている
・アーキテクチャ:クラサバモデル、ピアツーピア(P2P)、集中型 vs. 分散型
・アプリケーション(用途):金融(不正検出、取引戦略)、ヘルスケア(医療記録分析、治療計画)、サプライチェーン管理、交通最適化、ロボティクス、ゲーム、災害対応、クラウドインフラストラクチャ管理、科学研究など、さまざまな業界でエージェント型AIシステムが利用されるようになるだろう。(Geminiの回答)
・デメリットにも注目する必要があり、扱いは結構難しいかも
・「標準は大切だけど、そこまで大きなブレークスルーではない。最大のブレークスルーを10とすると、2ぐらい」(Dave Lindum, analyst with the Cube Research)
https://youtu.be/hZNEztvTrzc?si=z0Gm6nLbiW9u4TdJ&t=143  

(5)Llama 4が炎上!
・Llama 4(特にMaverickモデル)が、AIベンチマークサイト「LMArena(旧Chatbot Arena)」で非常に高いスコアを記録したが、そのスコアを出したのは「会話用に調整された実験的バージョン」であり、一般公開されているモデルとは異なるものだった
・Metaはこの点を十分に説明せず、ユーザーや開発者から「ベンチマーク用に最適化されたモデルで実力を偽装したのでは」と批判される  

(6)直近でリリースされた「GPT-4.1」の実力
・SWE-bench(実務的なソフトウェア開発タスク)で54.6%の達成率を記録し、前世代(GPT-4o)の33.2%から大幅に向上
・指示追従性(Instruction Following)も強化され、複雑な指示やマルチターンの会話でも一貫性を保ちやすくなっている
・最大100万トークン(約75万語)の入力を処理可能。これは従来のGPT-4o(12.8万トークン)から大幅な拡張。長大なコードベースや大量の文書を一度に扱う用途に最適化
・GPT-4.1、GPT-4.1 mini、GPT-4.1 nanoの3種類がAPI提供
・GPT-4.1およびminiはファインチューニングに対応
・開発者や企業からは、現場の声を反映した信頼性や拡張性が高く評価されている
・GPT-4.1はまだ音声が入っていない  

(7)Googleの勝利を宣言する有識者が続出。Gemini 2.5シリーズの評価が抜群に高い
・「Googleが勝った!」と発信するYouTuberが出てきた
・Gemini 2.5 Pro:リーズニングモデル。LMArenaリーダーボードで首位。知識と推論に関する難しいベンチマークであるHumanity’s Last Examで史上最高スコアを達成。「最高のコーディングモデル」(Redditの一部のユーザー)。「ゼロショット」でコーディングしたルービックキューブのシミュレーション。100万トークンのコンテキストウィンドウ
・Gemini 2.5 Flash:2.5の高速バージョンであり、低遅延で費用対効果の高いモデル。「Claudeなどの代替モデルよりも大幅に安価でありながら、同等以上のパフォーマンスを提供している」(T3 Chatの一部のユーザー)。インプットとアウトプットで100万トークンあたり10セントと40セント。AnthropicのClaude 3.7 SonnetやOpenAIのGPT-4.5よりも安価
・批判的な意見もあり:「調査、推論、創造的な出力を含むタスクでChatGPTがGemini 2.5 Proを上回った」「コーディングには優れているが、他のすべては平均的」(Redditユーザーより)
・Agent SpaceとAgent Development Kit(ADK)を発表

個別テーマ解説動画

また、各テーマに分割した動画も配信しました。興味のあるトピックに応じてご覧ください。

AI 2027レポート執筆リーダー・Daniel Kokotajlo氏へのインタビューと、レポートに対する好意的/批判的反応まとめ

0:00 AI 2027レポートの要約
3:33 人類が滅亡する可能性は70%?20%?
6:32 質問①:データの多様性とAIの進化について
8:49 質問②:無数のAIエージェント同士のコラボについて
12:21 質問③:なぜAIは順序正しく進化すると思うのか?
13:06 質問④:LLMの進化でミスアライメントの問題はある程度解決されたのでは?
17:47 質問⑤:AIは悪意を持って嘘をついているわけではないのでは?
19:56 質問⑥:ナノボットが広く普及する未来について
21:26 質問⑦:2028年ASI誕生後に富の再分配はどうなる?
24:02 AI 2027レポートに対する好意的な反応
26:22 AI 2027レポートに対する批判的な反応①:科学的な主張ではない
30:06 AI 2027レポートに対する批判的な反応②:AIは自分で自分を永遠に改良し続けられるのか
33:46 どっちのシナリオでも結果は同じ?
35:38 AI進化に対するオープンソースの動向の影響は?

※サムネイル画像はPIROによるPixabay画像を活用

GPT-4.1の評判はどう?Gemini 2.5やClaude 3.7 Sonnetとの比較の声を紹介

0:00 GPT-4.1の特徴
1:29 開発者や企業からは、現場の声を反映した信頼性/拡張性が高く評価

※サムネイル画像はGerd AltmannによるPixabay画像を活用

「Google勝利!」を宣言する有識者が続出。Gemini 2.5シリーズの評判が抜群に高い

0:00 Googleが勝った!?
1:19 Gemini 2.5 ProとGemini 2.5 Flashの特徴
3:47 Agentspaceも発表

※サムネイル画像はschoithramaniによるPixabay画像を活用

MCPエコノミー拡大中!マルチエージェント(エージェント型AIシステム)の時代へ

0:00 OpenAIもGoogleも、Anthropic発MCP(Model Context Protocol)準拠を発表
1:00 エージェント型AIシステムとは
1:45 AIエージェントとは
2:19 AIエージェント同士のやりとり:コミュニケーション、コーディネーション、コラボレーション
5:18 コラボの枠組み(アーキテクチャ)
6:03 エージェント型AIシステムのセキュリティ
6:47 どんなメリットがあるのか?
9:43 これから出てくる可能性があるアプリケーション
10:20 それほど大きなブレイクスルーではない?

登壇者情報

遠藤 太一郎

株式会社カナメプロジェクト CEO
国立大学法人東京学芸大学 教育AI研究プログラム 教授

AI歴25年。18歳からAIプログラミングを始め、米国ミネソタ大学大学院在学中に起業し、AIを用いたサービス提供を開始。AIに関する実装、論文調査、システム設計、ビジネスコンサル、教育等幅広く手がけた後、AIスタートアップのエクサウィザーズに参画し、技術専門役員としてAI部門を統括。上場後、独立し、現在は株式会社カナメプロジェクトCEOとして様々なAI/DAO/データ活用/DX関連のプロジェクトを支援する。国際コーチング連盟ACC/DAO総研 Founder等

https://kaname-prj.co.jp/

湯川 鶴章

株式会社エクサウィザーズ AI新聞 編集長

米カリフォルニア州立大学サンフランシスコ校経済学部卒業。サンフランシスコの地元紙記者を経て、時事通信社米国法人に入社。シリコンバレーの黎明期から米国のハイテク産業を中心に取材を続ける。通算20年間の米国生活を終え2000年5月に帰国。時事通信編集委員を経て2010年独立。2017年12月から現職。主な著書に『人工知能、ロボット、人の心。』(2015年)、『次世代マーケティングプラットフォーム』(2007年)、『ネットは新聞を殺すのか』(2003年)などがある。趣味はヨガと瞑想。妻が美人なのが自慢。

https://community.exawizards.com/aishinbun

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この記事を書いた人

人ひとりが自分な好きなこと、得意なことを仕事にして、豊かに生きる。 そんな社会に向けて、次なる「The WAVE」を共に探り、学び、創るメディアブランドです。

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