生成AIが「幻滅期」突入と報じられ、それでも進化は止まらず、来年発売の家庭用ヒューマノイドロボットの動きにちょっとした感動を覚えた一週間(2024年9月6日配信版)

目次

本編動画

2024年9月6日に、以下の目次で「ほぼ週刊、AI動向のイマとミライ」動画を配信しました。

0:53 (1)今週のトピック紹介
2:40 (2)勝負はGPT-5ではなく「GPT-6」!? 他の追随を許さないOpenAIの開発計画
8:00 (3)生成AIは幻滅期!? ガートナーがハイプサイクルレポートを発表
13:06 (4)注目インタビュー:Arvind Narayanan教授(プリンストン大学)
33:49 (5)エネルギーが無料になる!?
37:20 (6)コンテキストウィンドウ「1億トークン」の時代がやってきた
41:58 (7)AIの推論レスポンスが爆発的に上がってきている
43:49 (8)リアルタイムゲームエンジンが早々に登場してきた
47:06 (9)Llamaのダウンロード数が3億5,000万回に迫っているらしい
49:53 (10)いよいよ来年発売!家庭用ヒューマノイドロボットの動きがリアルすぎる
56:41 (11)AI間の仮想通貨取引が観測される

各チャプターの概要は以下の通りです。

(1)今週のトピック紹介  

(2)勝負はGPT-5ではなく「GPT-6」!? 他の追随を許さないOpenAIの開発計画
・次世代GPT-5は「Strauberry」という開発コード名で開発中で、その次の世代のGPT-6が「Orion」という開発コード名
・GPT-5はチャットボット形式と、SLM(小規模言語モデル)のみ公開。GPT-5のLLMは一般公開せず(他者に真似されるから?)、GPT-6(Orion)の学習データを合成するためにのみ利用するとのこと  

(3)生成AIは幻滅期!? ガートナーがハイプサイクルレポートを発表
・「AIは膨張した期待のピークを超えた。企業はLLMに対する興奮から冷め、費用対効果を重視したユースケースに関心が移行している」
・RAGがいまいち使えない、投資がなかなか回収できない、わかりやすいユースケースが要約くらい等の要因が考えられる  

(4)注目インタビュー:Arvind Narayanan教授(プリンストン大学)
・ビットコインには幻滅した。ブロックチェーンという技術は良いが、問題は別のところにあった。またクリプトコミュニティの哲学的な側面も、正しいとは思えなかった。AIにはマイナス面もあるが、プラス面の方が大きい
・製品を作るのではなく超知能の実現にベクトルが向いていたのが間違いだったのではないか
・スケール則は続かない派。GPT-4からGPT-5への進化は、GPT-3からGPT-4への進化に匹敵するぐらいのジャンプになるのかと言えば、そんなことはないと思う
・YouTubeの1,500億時間の動画データはそこまで貴重なものではない
・合成データは使い方次第。質を高めないままの量を追求した合成データは、AIの進化には寄与しないだろう
・企業内エージェントの課題とは
・なぜAI業界はSLMにシフトしているのか
・指数関数グラフは、実はS字カーブになる
・AIモデルはベンチマークでいい結果を出すようにだけ調整されるので、ベンチマークにない問題にはうまく対応できない可能性がある
・AIが賢くなったのは、計算資源、効率化、unhobblingが原因
・AGIの定義:経済的価値のあるほとんどのタスクの自動化が可能なAI  

(5)エネルギーが無料になる!?
・DeepMindの新AIモデル「GNoME」が、超伝導の可能性のある新素材を5万2000種類、リチウムイオン導体になる可能性のある新素材528種類を発見
・こうした発見を含む安定した結晶を42万1000種類発見しているし。人類は過去10年間に通常の実験で2万個しか安定結晶の新素材を発見していないことを考えれば、すごい快挙
・ちなみに、カリフォルニア州では化石燃料なしで電力需要を賄える実証実験中  

(6)コンテキストウィンドウ「1億トークン」の時代がやってきた
・ソフトウェア開発AIを手がけるMagic社が、1億トークンという超ロングコンテキストを処理できるモデル「LTM-2-mini」を開発
・プログラム1,000万行程度を入れることができるトークン数
・ロングコンテキスト vs RAG。コストや用途での使い分けか  

(7)AIの推論レスポンスが爆発的に上がってきている
・2月にGroqが登場。Mixtral8x7Bで1秒に450トークンの情報を表示し話題に。5月にFireworks.aiが開発したCursorが1000トークンで新記録を達成。そしてこのほど、CerebrasがLlama3.1-8Bで1800トークンという数字を叩き出した。  

(8)リアルタイムゲームエンジンが早々に登場してきた
・NVIDIA社長・Jen-Hsun Huang氏が10年以内にできる、と言った技術がすでに実現に近くなってきている
・ニューラル・モデルのみで構成されたゲームエンジン「GameNGen」
・映画のワンシーンのような映像も生成可能になってきた  

(9)Llamaのダウンロード数が3億5,000万回に迫っているらしい
・2024年7月だけでも2,000万回以上のダウンロード
・日本でも野村ホールディングスがAWS上でLlamaを利用しているとのこと  

(10)いよいよ来年発売!家庭用ヒューマノイドロボットの動きがリアルすぎる
・ノルウェーの1X Technologies社(旧Halodi Robotics)が、家庭用に設計されたヒューマノイドロボット「NEO Beta」を発表
・「家庭に入ることが前提だから、危なくないことを大前提に設計」とCEOが発言。10年前から家庭用を前提に研究開発を進めてきた
・早ければ2025年に出荷開始し、2026年くらいまでにデータを集めながら本当に使えるロボットにして、2027年くらいから製造業、サービス業、倉庫などに広く展開。2030年までに、数十億台規模の製造体制構築といった構想  

(11)AI間の仮想通貨取引が観測される
・情報空間におけるAI×クリプト(暗号資産)はビジネスのフロンティア
・AIエージェントは銀行口座を持てないが、AIのためのウォレットは作れる

個別テーマ解説動画

また、各テーマに分割した動画も配信しました。興味のあるトピックに応じてご覧ください。

いよいよ来年発売!家庭用ヒューマノイドロボットの動きがリアルすぎる

0:00 動きが滑らかすぎる! 1X Technologies社のヒト型ロボット「NEO Beta」
1:12 家庭に入ることが前提だから、危なくないことを大前提に設計
4:49 2030年までに数十億台規模の製造体制を構築する構想

DeepMind新AIモデル「GNoME」による新素材発見で「エネルギー無料」が実現するか?

※サムネイル画像はMichael SchwarzenbergerによるPixabay画像を活用

勝負はGPT-5ではなく「GPT-6」との噂。他の追随を許さないOpenAIの開発計画を探る

0:00 コード名「Strawberry」のGPT-5と、コード名「Orion」のGPT-6
2:45 GPT-6が本命で、GPT-5はLLMとしては一般公開しない?

※サムネイル画像はPexelsによるPixabay画像を活用

コンテキストウィンドウ「1億トークン」の時代がやってきた

0:00 Magic社が1億トークンのモデル「LTM-2-mini」を開発
2:48 ロングコンテキストかRAGかは、コストや用途によって使い分けよう

※サムネイル画像はRonald PlettによるPixabay画像を活用

AIブームとビットコインブームの違いは?ベンチマークは地雷がいっぱい?プリンストン大学教授が考えるAI感が面白い

0:00 注目インタビュー:Arvind Narayanan教授(プリンストン大学)
0:27 AIブームとビットコインブームの違いについて
4:06 今はAIのハイプサイクルなのか
5:47 スケール則はいまだに健在か
7:49 データの壁?YouTubeには1500億時間の動画データ
8:49 データの壁?合成データ
9:55 企業内のエージェントの課題
12:00 なぜAI業界はSLMにシフトしているのか
12:43 指数関数グラフは、実はS字カーブになる
14:42 ベンチマークは地雷がいっぱい
15:24 これからのシナリオ
18:58 AGIはいつ実現するのか

※サムネイル画像はAlKalenskiによるPixabay画像を活用

幻滅期に突入した「生成AI」は今後どうなるのか? ガートナーがハイプサイクルレポートを発表

0:00 AIは膨張した期待のピークを超えたか
1:30 なぜ人々は生成AIに幻滅し始めたのか

Llamaのダウンロード数が「3億5,000万回」に迫っているらしい

※サムネイル画像はManfred RichterによるPixabay画像を活用

リアルタイムゲームエンジンの登場でゲーム/映画の作り方が変わりそう

情報空間における「AI×仮想通貨」が次なるビジネスのフロンティアかも

※サムネイル画像はMichaelWuenschによるPixabay画像を活用

登壇者情報

遠藤 太一郎

株式会社カナメプロジェクト CEO
国立大学法人東京学芸大学 教育AI研究プログラム 准教授

AI歴25年。18歳からAIプログラミングを始め、米国ミネソタ大学大学院在学中に起業し、AIを用いたサービス提供を開始。AIに関する実装、論文調査、システム設計、ビジネスコンサル、教育等幅広く手がけた後、AIスタートアップのエクサウィザーズに参画し、技術専門役員としてAI部門を統括。上場後、独立し、現在は株式会社カナメプロジェクトCEOとして様々なAI/DAO/データ活用/DX関連のプロジェクトを支援する。国際コーチング連盟ACC/DAO総研 Founder等

https://kaname-prj.co.jp/

湯川 鶴章

株式会社エクサウィザーズ AI新聞 編集長

米カリフォルニア州立大学サンフランシスコ校経済学部卒業。サンフランシスコの地元紙記者を経て、時事通信社米国法人に入社。シリコンバレーの黎明期から米国のハイテク産業を中心に取材を続ける。通算20年間の米国生活を終え2000年5月に帰国。時事通信編集委員を経て2010年独立。2017年12月から現職。主な著書に『人工知能、ロボット、人の心。』(2015年)、『次世代マーケティングプラットフォーム』(2007年)、『ネットは新聞を殺すのか』(2003年)などがある。趣味はヨガと瞑想。妻が美人なのが自慢。

https://community.exawizards.com/aishinbun

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この記事を書いた人

人ひとりが自分な好きなこと、得意なことを仕事にして、豊かに生きる。 そんな社会に向けて、次なる「The WAVE」を共に探り、学び、創るメディアブランドです。

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