本編動画
2025年3月28日に、以下の目次で「ほぼ週刊、AI動向のイマとミライ」動画を配信しました。
1:02 (1)今週の概観とジャーナリストの視点
5:13 (2)先週の復習。OpenAIとDeepSeek、米国と中国
16:02 (3)基盤モデルが儲からなくなった3つの理由と、AIスタートアップの生き残る道
29:25 (4)強化学習の産業への応用パターンを考えてみる
45:39 (5)これからのAI業界はどうなるのか?
51:23 (6)勝ち残るAI企業の特徴 by. サム・アルトマン氏最新インタビュー
56:06 (7)中国は2025年が元年!?米中それぞれの人型ロボット開発の現状
各チャプターの概要は以下の通りです。
(1)今週の概観とジャーナリストの視点
(2)先週の復習。OpenAIとDeepSeek、米国と中国
・OpenAIが米政府に対してDeepSeek禁止の働きかけをする。中国AI大手と世界のオープンソースコミュニティが一体化。米クローズドAIに対抗する一大勢力に
・米国の投資家の反応「OpenAIがアンチDeep Seekの提案書を出したのは、一言で言えば悲しい」
・さらに進化する中国AI。DeepSeek V3 641GBやAnt GroupのAI学習技術など
(3)基盤モデルが儲からなくなった3つの理由と、AIスタートアップの生き残る道
・最先端基盤モデルの賞味期限はせいぜい3カ月であり、基盤モデルでは儲からなくなってきたので、米国AIラボは、戦略変更してプロダクトの会社にならざるをえないのではないか
・AIトレーニング企業PleiasのAlexander Doria氏がエッセイ「The Model is the Product(基盤モデルがプロダクトになった)」を発表
https://vintagedata.org/blog/posts/model-is-the-product
・Doria氏が考える基盤モデルが儲からなくなった3つの理由:一般的スケーリングの停滞、Opinionated trainingの想定以上の成果、DeepSeekによる推論コストの急降下。この結果、基盤モデルの使用料では儲からなくなったので、特定用途のプロダクトで儲けるしかない
・例①:OpenAIのDeep Research:ラッパーではなく新たなリサーチ言語モデル(PerplexityやGoogle GeminiのDeep Reseachは論文が公開されていないが、基盤モデルを少しファインチューニングしただけと見られる)
・例②:AnthropicのClaude Sonnet 3.7:コーディング関連タスクを内部に持つエージェント。今ある多くのAIエージェントと名乗っているものは、Anthropicの定義ではエージェントではなく、ただのワークフロー。
・DatabricksのNaveen Rao氏「全てのクローズドAIモデルの提供会社は、API接続のサービスを2、3年以内に止めるだろう」
https://x.com/NaveenGRao/status/1886544584588619840
・大手AIラボはプロダクトの会社になり、ラッパー(Wrapper)との蜜月関係は終わる!?
・AIスタートアップの生き残る道:独自モデル開発か、ドメイン・機能特化か
(4)強化学習の産業への応用パターンを考えてみる
・気になったこと①:Andrej Karpathy氏も高く評価する強化学習(試行錯誤学習)の応用が期待される一方、特定の業界の深い知識と強化学習の専門性を組み合わせたスタートアップがほとんど存在しないと、Alexander Doria氏はコメント。具体的にどんな応用パターンが考えられるのか
・カスタマーサポート(複雑な問い合わせ対応の自動化、FAQの自動生成と改善等)、サプライチェーン管理(需要予測の高度化、物流ルートの最適化等)、製造業への応用(異常検知と予知保全、計画最適化とスケジューリング等)。サプライチェーン管理における報酬は何になるのか
・気になったこと②:Prime Intellectは分散型LLMのトレーニングに成功しているし、MoondreamやArcee、Nous、Pleias、JinaなどはCommon Corpusや事前学習ツール、fine-webデータセット、事後学習の指示データセットなどを提供している。ラッパー企業に比べると、こうしたモデルトレーニング企業が投資家から過小評価されているかも
・気になること③:PleiasはRAG自動化エージェントを提供
・投資家のBalaji Srinivasan氏は「AI はプロトタイピングには最適です。しかし、洗練された製品には適していません。AI = abundant interns(AIはインターンがたくさんいる、の略)」とポスト
https://x.com/balajis/status/1903820935377109152
(5)これからのAI業界はどうなるのか?
・今まで必要だと言われていた要素3つのうち2つが崩れた:
①データを持っているところが強い:マルチモーダルでより重要なデータを新たに手に入れることができるようになる
②製品を持っているところが強い:そもそも市場がターゲットとする業務そのものがなくなるようになる
③顧客とのパイプを持っているところは強い:そこに関しては今年はまだ変わらない
(6)勝ち残るAI企業の特徴 by. サム・アルトマン氏最新インタビュー
・AI業界の戦いで勝ち残る企業はどんな企業になるのか、という質問に対して
・①戦略的優位性があると思うのは、巨大なインターネット企業を構築。パーソナル AI で他のサービスにサインインし、そこで使用できるようにしたい。そのためにも、AGI の使用方法に最適化された、驚くべき新しい種類のデバイスが登場すると思う
・②最も安価で豊富な推論をいかにして実現するか
・③実際に最善の研究を行い、最善のモデルを生み出すこと
※出典:Stratecherry”An Interview with OpenAI CEO Sam Altman About Building a Consumer Tech Company”
https://stratechery.com/2025/an-interview-with-openai-ceo-sam-altman-about-building-a-consumer-tech-company/
(7)中国は2025年が元年!?米中それぞれの人型ロボット開発の現状
・中国科学技術ベンチャーキャピタル研究所の「中米ロボット発展の徹底分析レポート 2025年はヒューマノイドロボット量産元年:中米の技術路線の差別化とシナリオの競争(草稿)」
・DeepSeekによる要約:https://mp.weixin.qq.com/s/-BacIMdsdruIQQMRk4m9gw
・中国の特徴:Yushu TechnologyとUBTECH Roboticsなどによる電動駆動のブレークスルー、コアコンポーネントの現地調達率は75%
※参考1:China’s Yushu Technology’s latest humanoid robot dances silkier than AI
https://www.youtube.com/watch?v=_GRS4uFbLKo
※参考2:UBTECH Swarm Intelligence: Walker S1 Factory Training 2.0
https://www.youtube.com/watch?v=qlV9EWPe91o
・米国の特徴:アルゴリズムの覇権、ただしコア部品は輸入に依存し、産業用ロボットの単価は25万ドルを超える
・中国の注力インダストリー:教育サービスと産業カスタマイズ、米国の注力インダストリー:ハイエンド製造業と医療
・中国のAI産業構造:政策主導の垂直統合(「第14次5カ年計画」では、ヒューマノイドロボットを戦略産業として位置づけ、15%の税額控除を課している)、米国のAI産業構造:テクノロジー大手がエコシステムを支配
・今後の動向と課題:電動駆動が主流になる、クロスシナリオタスクの成功率が 90% 以上に押し上げられる、産業用ロボットの普及率が5%から30%に急上昇、家庭用ロボットの単価が1万ドル(テスラの目標)に低下
・中国はミッドレンジ市場とコア部品供給を独占し、一方で米国は高性能の産業用および医療用ロボットを独占し、アルゴリズムの覇権と資本密度に依存する
・中国と米国のロボット産業間の競争の本質は、 「費用対効果重視」と「技術第一」の間のパラダイム対決
個別テーマ解説動画
また、各テーマに分割した動画も配信しました。興味のあるトピックに応じてご覧ください。
基盤モデルが儲からなくなった3つの理由。大手AIラボは基盤モデル開発からプロダクト開発へ
0:00 最先端基盤モデルの賞味期限はせいぜい3カ月
0:57 一般的スケーリングの停滞、Opinionated trainingの成果、DeepSeekによる推論コストの急降下
3:18 OpenAIのDeep Researchはラッパー(wrapper)ではない
7:03 全クローズドAIモデル企業はAPI接続のサービスを2、3年以内に止める!? AIスタートアップはどう生きる?独自モデル開発?ドメイン・機能特化?
※サムネイル画像はRichard DuijnsteeによるPixabay画像を活用
「強化学習」と「深いドメイン知識」の組み合わせにこそチャンスがありそう
0:00 強化学習をうまく応用したスタートアップが、今のところほとんど存在しない
2:09 強化学習の応用パターン①:カスタマーサポート
6:23 強化学習の応用パターン②:サプライチェーン管理
※サムネイル画像はPhilipp MarquetandによるPixabay画像を活用
米中「人型ロボット」開発競争。本質は「費用対効果重視」と「技術第一」の間のパラダイム対決
0:00 今年が人型ロボット量産元年!?
1:21 中国のブレイクスルーは「電動駆動」領域にあり
3:49 米国の圧倒的な強みは「アルゴリズムの覇権」にあり
5:38 米中それぞれの注力インダストリーとは
7:22 中国は政策主導の垂直統合、米国はテクノロジー大手によるエコシステムの支配
8:41 中国はミッドレンジ市場/コア部品供給を独占し、米国は高性能の産業用/医療用ロボットを独占する
12:49 将来的には差別化された共生へと向かうかもしれない
※サムネイル画像はDrSJSによるPixabay画像を活用
サム・アルトマンが考える、勝ち残るAI企業の特徴(最新インタビュー解説)
・AI業界の戦いで勝ち残る企業はどんな企業になるのか、という質問に対して
・①戦略的優位性があると思うのは、巨大なインターネット企業を構築。パーソナル AI で他のサービスにサインインし、そこで使用できるようにしたい。そのためにも、AGI の使用方法に最適化された、驚くべき新しい種類のデバイスが登場すると思う
・②最も安価で豊富な推論をいかにして実現するか
・③実際に最善の研究を行い、最善のモデルを生み出すこと
※出典:Stratecherry”An Interview with OpenAI CEO Sam Altman About Building a Consumer Tech Company”
※サムネイル画像はSeidenperleによるPixabay画像を活用
AIビジネスで必要だと言われていた「3つの要素」のうち、2つが崩れたと言える
0:00 どれだけしっかりとしたプロダクトを作るかが大事になってくる
1:41 データを持っているところが強い→そうとも限らなくなってきた
2:45 製品を持っているところが強い→そうとも限らなくなってきた
3:44 顧客とのパイプを持っているところが強い→まだまだその通り
※サムネイル画像はGerd AltmannによるPixabay画像を活用
登壇者情報

遠藤 太一郎
株式会社カナメプロジェクト CEO
国立大学法人東京学芸大学 教育AI研究プログラム 准教授
AI歴25年。18歳からAIプログラミングを始め、米国ミネソタ大学大学院在学中に起業し、AIを用いたサービス提供を開始。AIに関する実装、論文調査、システム設計、ビジネスコンサル、教育等幅広く手がけた後、AIスタートアップのエクサウィザーズに参画し、技術専門役員としてAI部門を統括。上場後、独立し、現在は株式会社カナメプロジェクトCEOとして様々なAI/DAO/データ活用/DX関連のプロジェクトを支援する。国際コーチング連盟ACC/DAO総研 Founder等

湯川 鶴章
株式会社エクサウィザーズ AI新聞 編集長
米カリフォルニア州立大学サンフランシスコ校経済学部卒業。サンフランシスコの地元紙記者を経て、時事通信社米国法人に入社。シリコンバレーの黎明期から米国のハイテク産業を中心に取材を続ける。通算20年間の米国生活を終え2000年5月に帰国。時事通信編集委員を経て2010年独立。2017年12月から現職。主な著書に『人工知能、ロボット、人の心。』(2015年)、『次世代マーケティングプラットフォーム』(2007年)、『ネットは新聞を殺すのか』(2003年)などがある。趣味はヨガと瞑想。妻が美人なのが自慢。