【専門解説】OpenAIが開発中の新デバイスの基礎技術がOpenAI Pulse

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本編動画

2025年10月7日に「ほぼ週刊、AI動向のイマとミライ」動画を配信しました。

OpenAIによってほぼ同時期にリリースされた2つの技術、Sora2とChatGPT Pulse。Sora2の方は、多くの人が動画を生成してSNSに投稿して大きな話題になっている。一方のChatGPT Pulseは能動的に情報を提供してくれる技術で、今は有料のProユーザーしか使えないこともあって、ほとんど話題になっていない。
でも社会により大きな影響を与えるのはChatGPT Pulseの方。このことに気づいている人はまだほとんどいないと思う。
この能動的ということろがミソ。これまでのChatGPTは「呼びかけに応じて答える」受動的なAIだった。Pulseはその逆で、状況を理解して先に提案する能動的AIだ。つまり、ユーザーの問いを待たずに、行動の文脈を読み取って声をかけてくる。
今は、ユーザーの嗜好を理解して朝にニュースダイジェストを表示することぐらいしかできないけれど、この技術はOpenAIが来年発売を予定しているポータブルデバイスに搭載されることになると思う。新デバイスは、常に周りの状況を把握して、タイムリーな情報を能動的に提供してくれるようになると言われているが、まさにPulseがその中心技術になるのだと思う。
例えば予定表を把握しているので、午後から歯医者のアポがあることを知っていて、ユーザーが朝、会社へ行こうとして玄関を出ようとすると「月初めだから保険証がいるよ。保険証持った?」と聞いてくれるようになると思う。
このデバイスは、秘書のような存在になり、スマホを単なるスクリーンデバイスの地位に押し下げる可能性がある。
また今はまだデジタル環境の中で活躍することが多いAIを、リアル環境に持ち出す役割も果たす。リアル環境の学習データを集めるデバイスになり、AIがさらに進化することになる。
Sam Altman氏は、過去発売されたどのデバイスよりも短時間で1億台を売り上げるだろうと予測している。またSam Altman氏は2025年春の社内ミーティングで、社員に向けて「このプロジェクトはOpenAIの歴史の中で最大のチャンスだ」と語ったという。過去最大?ChatGPTの時よりも大きなインパクトを社会に与える可能性があるとAltman氏は考えているのかもしれない。

登壇者情報

遠藤 太一郎

株式会社カナメプロジェクト CEO
国立大学法人東京学芸大学 教育AI研究プログラム 教授

AI歴25年。18歳からAIプログラミングを始め、米国ミネソタ大学大学院在学中に起業し、AIを用いたサービス提供を開始。AIに関する実装、論文調査、システム設計、ビジネスコンサル、教育等幅広く手がけた後、AIスタートアップのエクサウィザーズに参画し、技術専門役員としてAI部門を統括。上場後、独立し、現在は株式会社カナメプロジェクトCEOとして様々なAI/DAO/データ活用/DX関連のプロジェクトを支援する。国際コーチング連盟ACC/DAO総研 Founder等

https://kaname-prj.co.jp/

湯川 鶴章

株式会社エクサウィザーズ AI新聞 編集長

米カリフォルニア州立大学サンフランシスコ校経済学部卒業。サンフランシスコの地元紙記者を経て、時事通信社米国法人に入社。シリコンバレーの黎明期から米国のハイテク産業を中心に取材を続ける。通算20年間の米国生活を終え2000年5月に帰国。時事通信編集委員を経て2010年独立。2017年12月から現職。主な著書に『人工知能、ロボット、人の心。』(2015年)、『次世代マーケティングプラットフォーム』(2007年)、『ネットは新聞を殺すのか』(2003年)などがある。趣味はヨガと瞑想。妻が美人なのが自慢。

https://community.exawizards.com/aishinbun

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この記事を書いた人

人ひとりが自分な好きなこと、得意なことを仕事にして、豊かに生きる。 そんな社会に向けて、次なる「The WAVE」を共に探り、学び、創るメディアブランドです。

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