5年後のAI勝者を予測する米投資家たちの意見を聞きながら、OpenAI、Google、Tesla&xAI 各社トップの頭の中を探った一週間(2025年6月27日配信版)

目次

本編動画

2025年6月27日に、以下の目次で「ほぼ週刊、AI動向のイマとミライ」動画を配信しました。

1:08 (1)イントロダクション
1:32 (2)5年後にAIで天下を取るのは誰?米投資家達の意外な予測
12:45 (3)イーロン・マスク氏は今、何を考えているのか
23:39 (4)Google CEOのピチャイ氏は何を考えているのか
33:09 (5)サム・アルトマン氏は何を考えているのか
53:23 (6)AI業界、次は何がくるのか(Nathan Lambert氏)

各チャプターの概要は以下の通りです。

(1)イントロダクション  

(2)5年後にAIで天下を取るのは誰?米投資家達の意外な予測
・人気ポッドキャスト「All-In Podcast」より
https://www.youtube.com/@allin
・「最近はAGIではなくASIという表現が使われるようになってきた。ASIの方が達成可能だという認識が広がっている」(Chamath Palihapitiya氏)
・飛行機が鳥を真似ることから、より速く飛ぶための別の設計へと進化した歴史になぞらえられて考えるエピソード。ASIは言語能力や推論能力などの特定の認知能力において人間を大幅に超えることで実現が見えやすいのかも
・ポッドキャストのメンバーはTesla/イーロン・マスクとGoogleへの期待が大きい一方で、OpenAIという意見がなかった。「AppleがOpenAIを買収すればいいのに」という意見も  

(3)イーロン・マスク氏は今、何を考えているのか
https://youtu.be/cFIlta1GkiE?si=8oIs-8EZS0OEi9Ad
・「人類は今、知性のビッグバンの非常に初期段階にあり、デジタル超知能の到来が非常に近いと考えている。今年は無理でも来年には実現するだろう」(Elon Musk氏)
・「将来的には、一つの一人勝ちAIではなく、少なくとも5〜10程度の「深層知能」が複数存在するだろう」
・「AIの安全保障において最も重要なことは、真実への厳格な固守と人類への共感。AIに真実ではないことを強制的に信じさせることは非常に危険」
・思考の根底には「ファーストプリンシプル(第一原理思考)」という考え方があり、問題を根本的な真実に分解し、論理的に考えることを重視している
・人類が「多惑星種」になることが極めて重要だとし、約30年以内に、火星が地球からの補給なしに自立し成長・繁栄できるほどの質量を火星に輸送することを目指している
・高度な推論機能を備えたGrok 3.5についてのポスト
https://x.com/elonmusk/status/1936333964693885089  

(4)Google CEOのピチャイ氏は何を考えているのか
https://youtu.be/9V6tWC4CdFQ?si=EciM9uyBySP17R1f
・「2030年までには劇的な進歩があり、そのいい影響と悪い影響に対処しなければならなくなる。AGIの厳密な定義に到達するのはまだ少し先」(Sundar Pichai氏)
・日本でまだ使えないGoogle検索の「AIモード」で、ユーザーに文脈、要約、対話を提供。ChatGPT使わない人はGoogle検索のAIモードで十分かも
・広告のターゲティング精度は向上しそう
・VeoがYouTube以上のクリエイティビティの爆発を引き起こす可能性。ただし、「将来良質な映像の50%がVeo 4/5/6製になったとしても、観客は依然として監督や演者など人間の手触りを持つ作品に価値を感じるだろう」
・「事前学習、事後学習、推論時計算はまだ最適化の余地あり」「今感じている制約は、学習データよりも計算資源。毎年計算資源を10倍にする計画なので、来年も成果に期待できる」「知能の計測は限界に。ベンチマークよりも役に立つかどうか。より賢く・より速く・より安く」
・「AI mode でも AI Overviews でも ウェブへのリンクは絶対に残す。AI modeは検索結果の上に載せる 文脈レイヤーだ」
・2026年から、スマホからスマートグラスへと主戦場が変わる?ARはエージェント型AIになる?  

(5)サム・アルトマン氏は何を考えているのか
https://youtu.be/mZUG0pr5hBo?si=fAMRHp0A6GkiZrRZ
・Sam Altman氏が弟で投資家のJack Altman氏のポッドキャストに出演
・「ユーザーを常に助け、ユーザーの目標や情報を理解し、学習し続けるAIコンパニオンが最終的な目標」(Sam Altman氏)※AIコンパニオンという表現は初
・「最も期待しているのは「科学のためのAI。特に天体物理学のような大量のデータが存在する分野が最初のターゲットになる可能性がある」
https://youtu.be/V979Wd1gmTU?si=ykp3-MEYtZSFDWda
・Y Combinatorのインタビューにて
・「今はコーディングとチャットが主な用途だが、今後は新しいソーシャル体験、Googleドキュメントのような生産性向上ワークフロー、仮想従業員などが登場するだろう」→「登場するだろう」は「我々が作ろうとしている」という意味
・OpenAIのSam Altman氏がブログ記事「The Gentle Singularity」より
https://blog.samaltman.com/the-gentle-singularity
・「人類はまもなくデジタル超知能を構築しますが、多くの人が思っているほど奇抜な時代にはなりません」
・「2030年代には、知性とエネルギー、つまりアイデアとそれを実現する能力が、とてつもなく豊富になるでしょう。この二つの不足がこれまで人類の進歩の足枷になってきました。知性とエネルギーが豊富になることで、理論上はどんなものでも手に入れることができるようになります」
・シンギュラリティとは、驚異的な出来事が日常となり、当たり前のものとなること →人間は何事にも慣れる
・「1000年後の人たちの仕事は、我々からすると『そんなの仕事じゃない』というようなものになると思います。でもそれは彼らにとって重要でやりがいのある仕事なんだと思います」
・「どう使うかはアイデア次第。今まで夢だけ語る人はバカにされる傾向にあったけど、これからは彼らの時代」 →志を持っている人の時代。情熱を持っている人の時代
・ChatGPTの平均的なクエリは約0.34ワット時で、これはオーブンが1秒強で消費する電力、または高効率電球が数分で消費する電力とほぼ同じ。約0.000085ガロンの水も消費し、これは小さじ1/15杯分に相当する  

(6)AI業界、次は何がくるのか(Nathan Lambert氏)
・Nathan Lambert氏(Allen Institute for AIのLLMのポストトレーニング担当リード/シニアリサーチサイエンティスト)によるニュースレター「Interconnects」でのコラム記事「Some ideas for what comes next」
https://www.interconnects.ai/p/summertime-outlook-o3s-novelty-coming
・o3は検索能力が真のブレークスルー:4月の公開から数か月経っても同等のモデルは他社に存在せず、検索/ツール利用の信頼性向上でOpenAIが技術的優位を得た可能性が大きい。OpenAIはBingバックエンドを活用、AnthropicはBrave APIでSEOスパムに苦戦
・今は基盤モデルより自律型エージェントが熱い「エージェントの成功例は、o3、OpenAI DeepResearch、Claude Code。特にClaude CodeはUX、信頼性で完璧の領域」
・現在は「Tiny/Small/Standard/Big」というサイズ階層が業界標準化し、価格・レイテンシ・能力の目安になっている。「最大計算クラスタ=製品優位」の神話は2024年に崩壊し、効率化と使い勝手が差別化ポイントに →パラメータ拡大より効率・最適化が市場の主戦場に

個別テーマ解説動画

また、各テーマに分割した動画も配信しました。興味のあるトピックに応じてご覧ください。

【切抜解説】イーロン・マスク氏は今、何を考えているのか。直近のインタビュー動画の内容を解説

0:00 来年にもASI(超知能)が完成する?
2:53 各国が自分たちの価値観をAIに教え込むのは危険?
6:15 思考の根底にある「ファーストプリンシプル(第一原理思考)」
8:09 人類が「多惑星種」になることが極めて重要
9:11 高度な推論機能を備えたGrok 3.5(もしくは4)について

※サムネイル画像はMarcin PaśnickiによるPixabay画像を活用

【切抜解説】Google CEO スンダー・ピチャイ氏は今、何を考えているのか

0:00 AGIの厳密な定義に到達するのはまだ少し先
1:25 ChatGPTを使わない人はGoogle検索のAIモードで十分かも
3:54 VeoがYouTube以上のクリエイティビティの爆発を引き起こす可能性
5:24 スケール則はまだ伸び代がある
6:25 AIによる要約など、検索と広告に対する考え方
7:57 2026年から、スマホからスマートグラスへと主戦場が変わる?

※サムネイル画像はSimonによるPixabay画像を活用

【切抜解説】サム・アルトマン氏は今、何を考えているのか

0:00 AIコンパニオンと新たなるデバイス
2:37 Googleドキュメントのような生産性向上ワークフローや仮想従業員
4:50 超知能時代は、多くの人が思っているほど奇抜な時代にはならない
7:38 シンギュラリティとは、脅威的な出来事が日常となり当たり前のものになること
9:58 これまで考えられなかったような新しい制作を検討できるようになる
11:02 1000年後の仕事は、今の我々からすると仕事とは思えないだろう
15:33 まずアライメント問題を解決し、その上で超知能を安価で広く利用できるようにする
17:11 今まで夢だけ語る人はバカにされる傾向にあったけど、これからは彼らの時代
18:53 ChatGPTクエリのエネルギー消費量

登壇者情報

遠藤 太一郎

株式会社カナメプロジェクト CEO
国立大学法人東京学芸大学 教育AI研究プログラム 教授

AI歴25年。18歳からAIプログラミングを始め、米国ミネソタ大学大学院在学中に起業し、AIを用いたサービス提供を開始。AIに関する実装、論文調査、システム設計、ビジネスコンサル、教育等幅広く手がけた後、AIスタートアップのエクサウィザーズに参画し、技術専門役員としてAI部門を統括。上場後、独立し、現在は株式会社カナメプロジェクトCEOとして様々なAI/DAO/データ活用/DX関連のプロジェクトを支援する。国際コーチング連盟ACC/DAO総研 Founder等

https://kaname-prj.co.jp/

湯川 鶴章

株式会社エクサウィザーズ AI新聞 編集長

米カリフォルニア州立大学サンフランシスコ校経済学部卒業。サンフランシスコの地元紙記者を経て、時事通信社米国法人に入社。シリコンバレーの黎明期から米国のハイテク産業を中心に取材を続ける。通算20年間の米国生活を終え2000年5月に帰国。時事通信編集委員を経て2010年独立。2017年12月から現職。主な著書に『人工知能、ロボット、人の心。』(2015年)、『次世代マーケティングプラットフォーム』(2007年)、『ネットは新聞を殺すのか』(2003年)などがある。趣味はヨガと瞑想。妻が美人なのが自慢。

https://community.exawizards.com/aishinbun

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この記事を書いた人

人ひとりが自分な好きなこと、得意なことを仕事にして、豊かに生きる。 そんな社会に向けて、次なる「The WAVE」を共に探り、学び、創るメディアブランドです。

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