AIに対する無力感や、人生の面白さなど、「あまりテックじゃない話」をするサム・アルトマン氏の頭の中に考えさせられた一週間(2025年8月9日配信版_中編)

目次

本編動画

2025年8月9日に、以下の目次で「ほぼ週刊、AI動向のイマとミライ」動画を配信しました。

0:59 サム・アルトマン氏の「あまりテックじゃない話」が面白い
4:59 教育について
6:42 なくなる仕事、なくならない仕事
12:48 将来展望2つのシナリオ
17:14 AIの進化に伴う無力感
19:33 人間は人間に興味がある
22:36 AIに対して感じた一瞬の無力感
24:08 プライバシーと法的枠組み
25:07 進化が加速、ゴールはどこ?
26:25 人間は働かなくてよくなるのか
33:14 未来がどうなるのか分からないが、1つだけ断言できることがある
37:14 AIは神の存在を認識できるようになるのか
38:19 競争とドラマがなければ、人生はつまらない

前編(8/8配信):https://youtu.be/tKqMOcfpLXo
後編(8/10配信):https://youtu.be/QTkNVIxUJbQ

各チャプターの概要は以下の通りです。

OpenAI CEOの「あまりテックじゃない話」が面白かった
https://www.youtube.com/watch?v=aYn8VKW6vXA  

教育について
「自分の子供(4ヶ月)は大学へ行かないように思う。自分自身、中退したし」
「子供のことは心配していない。過去の歴史を見ても、子供は新しい技術にすぐに慣れる。すぐに新しい仕事を覚える」  

なくなる仕事、なくならない仕事
「なくならないのは①よりよい経験に対する欲求 ②クリエイティビティ(自己表現欲求 ③人の役に立ちたい、人と繋がりたいという欲求」
「技術の進化で人々は何もしなくてよくなるという意見があるが、この3つの欲求には上限がないので、将来我々はこれらの欲求を満たすための仕事、今は仕事とみなされないような仕事をしていると思う」  

将来展望2つのシナリオ
「1つは、GPT-7ぐらいになって、AIインフラを所有していなくても誰もがChatGPTを無料で活用し、全ての人の生産性が爆上がりする、というシナリオ。誰もが金持ちになって、貧富の差がなくなる」
「もう1つは、科学技術が急速に進化し、OpenAIのようなAIインフラを持っている企業にその富が集中するというシナリオ。その富をどう分配するのかという新たな経済モデルを構築しないといけない」  

AIの進化に伴う無力感
「このことは心配している」
「歴史を見ても、人間は常に自分を世界の中心としてとらえてきた。AIが進化しても、人間の心理は、自分を物語の主人公ととらえ続けるのではないかと思う」  

人間は人間に興味がある
「YouTubeの対談は、今日の技術でも2つのAI同士にしゃべらせることもできる。でも私はそんな動画は見たくない。人間の脳って実際の人物に興味関心が向くようにできているのだと思う」  

AIに対して感じた一瞬の無力感
「今朝、ある人からメールで質問がきたんだけど、何を言ってるのか、どう答えればいいのか、よく分からなかった。それでその質問を開発中のGPT-5に投げたら、なんと完璧な答えが返ってきた。ショックだった。ついにこの時がきたのかと思った。無力感を感じた。次の瞬間にはそのことを忘れて仕事に戻ったんだけど、なんだかとても不思議な感覚だった」  

プライバシーと法的枠組み
「法制度が確率するまでは、個人的なことは話したくないという考え方は非常に理解できる」  

進化が加速、ゴールはどこ?
「自分はあまりゴールのようなものを考えたことがないが、半導体などの設備を優秀な人間の研究チームに提供するのではなく、AIの研究チームに提供するようになれば、それが新しい時代の幕開けのように思う」  

人間は働かなくてよくなるのか
「AIのボタンを押して、あとは遊んでればいい、というふうにはなるのだろうか。AIツールの性能向上にともなって、人間同士の競争が激化してもっと働かないなければならなくなるのか。どっちになるのか分からない」  

未来がどうなるのか分からないが、1つだけ断言できることがある
・計算資源(電力、半導体、ネットワーク、データセンター、冷却用の水)などが希少になれば、価格が高騰し、一部の金持ちや国が最新鋭のAI(例えばOpenAI o3)をふんだんに活用できるようになる一方で、それ以外の人や国はひと昔前野AI(例えばGPT-3)とか使えなくなり、貧富の差、権力の差がさらに拡大するんじゃないか。 (湯川)  

AIは神の存在を認識できるようになるのか
「このことに関しては、とても関心がある」  

競争とドラマがなければ、人生はつまらない
「いずれこの時代を懐かしむんだから、今に感謝して楽しまないと、って心の中で言い続けていたら、本当に今に感謝できるようになった」

登壇者情報

遠藤 太一郎

株式会社カナメプロジェクト CEO
国立大学法人東京学芸大学 教育AI研究プログラム 教授

AI歴25年。18歳からAIプログラミングを始め、米国ミネソタ大学大学院在学中に起業し、AIを用いたサービス提供を開始。AIに関する実装、論文調査、システム設計、ビジネスコンサル、教育等幅広く手がけた後、AIスタートアップのエクサウィザーズに参画し、技術専門役員としてAI部門を統括。上場後、独立し、現在は株式会社カナメプロジェクトCEOとして様々なAI/DAO/データ活用/DX関連のプロジェクトを支援する。国際コーチング連盟ACC/DAO総研 Founder等

https://kaname-prj.co.jp/

湯川 鶴章

株式会社エクサウィザーズ AI新聞 編集長

米カリフォルニア州立大学サンフランシスコ校経済学部卒業。サンフランシスコの地元紙記者を経て、時事通信社米国法人に入社。シリコンバレーの黎明期から米国のハイテク産業を中心に取材を続ける。通算20年間の米国生活を終え2000年5月に帰国。時事通信編集委員を経て2010年独立。2017年12月から現職。主な著書に『人工知能、ロボット、人の心。』(2015年)、『次世代マーケティングプラットフォーム』(2007年)、『ネットは新聞を殺すのか』(2003年)などがある。趣味はヨガと瞑想。妻が美人なのが自慢。

https://community.exawizards.com/aishinbun

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この記事を書いた人

人ひとりが自分な好きなこと、得意なことを仕事にして、豊かに生きる。 そんな社会に向けて、次なる「The WAVE」を共に探り、学び、創るメディアブランドです。

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