Sakana AIの「科学者AI」がもたらす未来に度肝を抜かれ、AGIやASIがなくてもシンギュラリティが訪れる可能性を感じた一週間(2024年8月16日配信版)

目次

本編動画

2024年8月16日に、以下の目次で「ほぼ週刊、AI動向のイマとミライ」動画を配信しました。

1:04 (1)今週のトピック紹介
2:40 (2)Sakana AIが開発した「科学者AI」が実はとんでもないブレイクスルーな件
22:51 (3)AI時代で超重要な「AIぐるぐるモデル」は、ヒト型ロボットビジネスにも該当する
29:49 (4)ソフトウェア開発の評価基準で無名のモデルがぶっちぎりの成果を出す
34:03 (5)OpenAIによる8月8日発表モデルが、Geminiを抜いてチャットボット成績1位に

各チャプターの概要は以下の通りです。

(1)今週のトピック紹介  

(2)Sakana AIが開発した「科学者AI」が実はとんでもないブレイクスルーな件
・東京拠点のSakana AIが、科学研究のサイクルを自動的に遂行する新たなAIシステム「科学者AI」(AIサイエンティスト)を開発。非常に注目されている
・もともと、AGIができる前の今の技術でも科学者AI/研究者AIは実現できるという考え方があったが、まさに今回のSakana AIが実現した仕組みがそうなっている
・細かい課題こそあるものの、AIがAIを使って勝手に新たなるAIの研究を進める枠組み、ひいてはAIが勝手に賢くなっていく枠組みが、いよいよ整備され始めた
・今のところは、決められたアルゴリズムを元にAIがアイデアを生成し、その新規性をチェックし、実験を行って結果を見える化し、その内容を踏まえて論文執筆、論文レビュー、そして論文の改善までを自動実行する流れになっている
・今後は人間があらかじめアルゴリズムを決めなくとも、AIがプランニングの部分含めて自動的に進めるようになることが想定される
・結果としてAIがものすごく進化してAGI/ASIへのスピードを加速度的に高まるという点において大きなブレイクスルーであり、エポックメイキングな出来事と言える
・AGIやASIを待たずして、シンギュラリティは起こり得る
・現時点では、まだちょっと前のルールベースのAIに考え方が似ているが、LLMにエージェントが載ってくるようになると、より自律的にAI研究を進めるようになる  

(3)AI時代で超重要な「AIぐるぐるモデル」は、ヒト型ロボットビジネスにも該当する
・今のところ実験は基本的に人間が実施しているが、ヒト型ロボットの導入/普及によって、人間ではできないような内容にも踏み込むことができそう
・Amazonで導入されている米Agility Robotics社のヒト型ロボット
・同社CEOによると、ロボットを顧客に提供することで、そこからデータを取得し、ロボット制御システムの改善等に活用しているとのこと。データ内容としては、ロボットの環境認識データ、動作データ(関節の位置など)、タスクレベルデータなどが挙げられており、それらと失敗ケースのデータ等を合わせることで、改善が加速度的に進むことになる
・従来より提唱されてきた「AIぐるぐるモデル」(多くのデータが集まり、その結果アルゴリズムが改善され、サービスレベルが向上し、ユーザーが増えて、さらに多くのデータが集まり・・・という価値想像のループモデル)が、ヒト型ロボットの領域でも同じように該当する  

(4)ソフトウェア開発の評価基準で無名のモデルがぶっちぎりの成果を出す
・AIによるソフトウェア開発に対する評価基準「SWE-bench」の、より精度を高めて洗練された「SWE-bench Verified」が発表される
・これまではAmazon社やCongnition社がトップを張っていたが、今回新たなプレイヤーとしてCosine社のAIソフトウェアエンジニアリングモデル「Genie」が圧倒的な最高得点を取得  

(5)OpenAIによる8月8日発表モデルが、Geminiを抜いてチャットボット成績1位に
・つい先日、チャットボットで1位になったGeminiを抜いて、OpenAIが新たに発表した「ChatGPT-4o-latest(2024-08-08)」が一位になる
・ChatGPT-4o-latest(2024-08-08)はチャットの受け答えに最適化されたものと伺える

個別テーマ解説動画

また、各テーマに分割した動画も配信しました。興味のあるトピックに応じてご覧ください。

AGI/ASIの実現前にシンギュラリティはやってくる!?Sakana AI発表の「AI Scientist」が超エポックメイキングな出来事だって理解してる?

0:00 AIによる自律的なAI研究が早くも実現しつつある
3:53 アイデア生成から内容の改善まで、AIによる自動的な「論文」執筆の流れとは
9:57 現時点で課題はあるものの、AIが勝手に賢くなる枠組みとして超画期的
15:43 AGI/ASIを待たずしてシンギュラリティは起こり得る

ヒト型ロボットビジネスには「AIぐるぐるモデル」が不可欠になる

0:00 Amazon現場への導入が進むAgility Roboticsのヒト型ロボット
2:05 顧客提供することでロボット制御システムの改善が進む
6:02 ヒト型ロボット含め、AIビジネスではとにかく「ぐるぐるモデル」の設計が大事

AmazonやDevinを抜いて1位に!新星AIモデル「Genie」がぶっちぎりの記録を叩き出した

0:00 OpenAIが「SWE-bench」の改良版「SWE-bench Verified」を発表
2:58 Cosine社「Genie」がSWE-benchで圧倒的最高得点を樹立

OpenAIによる8月8日発表モデルが、Geminiを抜いてチャットボット成績1位に

登壇者情報

遠藤 太一郎

株式会社カナメプロジェクト CEO
国立大学法人東京学芸大学 教育AI研究プログラム 准教授

AI歴25年。18歳からAIプログラミングを始め、米国ミネソタ大学大学院在学中に起業し、AIを用いたサービス提供を開始。AIに関する実装、論文調査、システム設計、ビジネスコンサル、教育等幅広く手がけた後、AIスタートアップのエクサウィザーズに参画し、技術専門役員としてAI部門を統括。上場後、独立し、現在は株式会社カナメプロジェクトCEOとして様々なAI/DAO/データ活用/DX関連のプロジェクトを支援する。国際コーチング連盟ACC/DAO総研 Founder等

https://kaname-prj.co.jp/

湯川 鶴章

株式会社エクサウィザーズ AI新聞 編集長

米カリフォルニア州立大学サンフランシスコ校経済学部卒業。サンフランシスコの地元紙記者を経て、時事通信社米国法人に入社。シリコンバレーの黎明期から米国のハイテク産業を中心に取材を続ける。通算20年間の米国生活を終え2000年5月に帰国。時事通信編集委員を経て2010年独立。2017年12月から現職。主な著書に『人工知能、ロボット、人の心。』(2015年)、『次世代マーケティングプラットフォーム』(2007年)、『ネットは新聞を殺すのか』(2003年)などがある。趣味はヨガと瞑想。妻が美人なのが自慢。

https://community.exawizards.com/aishinbun

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この記事を書いた人

人ひとりが自分な好きなこと、得意なことを仕事にして、豊かに生きる。 そんな社会に向けて、次なる「The WAVE」を共に探り、学び、創るメディアブランドです。

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