【動画字幕版】シリコンバレーバンク(SVB)破綻によってテクノロジー業界はどうなるのか?

 米国のテックスタートアップに対する融資等で高い知名度を誇る、米SVBファイナンシャル・グループ傘下のシリコンバレーバンク(以下、SVB)が、3月10日に経営破綻した。

 過去数年のテック業界の好景気を背景に急成長を遂げてきた同行だが、財務不安の高まりに伴う「取り付け騒ぎ」によって、たった2日で、リーマン・ショック後で最大規模の銀行破綻ケースとなった状況だ。現在(3月12日時点)は連邦預金保険公社(FDIC)の管理下となり、預金保護の措置が取られている段階である。

 このSVBの破綻はテクノロジー業界にとってどのような影響を与えるのか。また、日本のスタートアップ界隈への影響として、どのようなことが想定されるのか。今回も、DAO総研 Co-Founderのガネーシャ DAyOが解説した。

※本記事では、動画解説の字幕部分を展開しています。

目次

本編:シリコンバレーバンク(SVB)破綻によってテクノロジー業界はどうなるのか?

どれだけ優良なスタートアップであったとしても
潰れるしかないです
テクノロジーの領域に関しては
イノベーションが急に止まるという可能性もあるのかなと思います

2023年3月12日のお昼にこの動画を撮っている

シリコンバレーバンクはアメリカのスタートアップの過半数が口座を持っている銀行

そんなシリコンバレーの銀行で取り付け騒ぎが起こったということで

なぜこれが起こったのかと

これがどういうふうな影響をテクノロジー業界に与えるのか

そういう話をしていきたいかなと思う

シリコンバレーバンクとは

シリコンバレーバンクはアメリカで16番目の資産規模の銀行

中堅という感じ

地方銀行が1個潰れるぐらいなので

経済全体にそんな影響があるとは思えないが

ただテクノロジー業界に大きな影響を与える可能性があって

これはWeb3やDAOなんかにも影響してくる

わずか2日で倒産

非常に優良企業で、何の問題もない運営をしていた銀行が

たった2日で倒産してしまった

何があったのかという話

SVB破綻までの2日間の経緯

時系列で追っていくと

3月9日にシリコンバレーバンクが125億ドルの普通株を売りますよとか

預託証券を売却しますよと発表した

別件でプライベート・エクイティ・ファームのGeneral Atlanticが

「この銀行の5億ドルの普通株を購入する」と発表している

株を売り始めたということはヤバいんじゃないかということで

株価が60%下落

それで取り付け騒ぎが起こったということ

預金している全ての人たちが銀行に押しかけもしくはオンラインで

預金を全部引き下ろそうとしたので

手元に預金がなくなって破産ということ

次の日に経営破綻して連邦預金保険公社(FDIC)の管理課に置かれた

FDIC(連邦預金保険公社)の発表内容

FDICがどんなふうに発表しているかというと

1つの口座あたり25万ドルまで保証している

だから取り付け騒ぎが起こっても25万ドルまでだったら国がお金払いますよということ

日本円だと3000万円ぐらい

でもスタートアップというのは3000万円どころじゃないお金を持っている

預金総額1610億ドルの7%ぐらいしかFDICの保険で保証されていないので

大半の企業はお金が引き出せないという形になった

FDICは3月13日になると

少なくとも25万ドルは引き出せるようになるし

残りの金額はAdvance Statementで1週間以内に発行しますよと

Advance Statementというのは借用書みたいなもの

全額かどうか分からないが、残りのお金はいずれ返しますという文書を

13日に出すと言っている

最善のシナリオとは

今後のシナリオとして一番いいのは

大手金融機関がシリコンバレーバンクを買収するというもの

これはひょっとすると(現地時間の)週末にもうあるのかなと思う

シリコンバレーバンクというのは非常に優良な金融機関だし

ベンチャー企業の大半が口座を開いているので

他の金融機関からすると喉から手が出るくらい欲しい金融機関だと思う

だから週末に買収の話が出るのかなとか思う

大手が買収すると、大手が全部の責任を持つので

預金はすべて返ってくるんだろうなと思う

シリコンバレーのイノベーションに急ブレーキがかかるか

もしもそういう買収が週末に行われないとすると

FDICの管轄下になって、FDICがシリコンバレーバンクの資産の売却を始める

土地・建物などのシリコンバレーバンクが持っている資産を売却し始める

売却して得たお金を預金している人たちに返していくということ

ほとんどのスタートアップは500万ドル以上の出資を受けている

だから普通のスタートアップっはシリコンバレー銀行に500万ドルぐらいのお金が入っている

そのうち25万ドルしか返ってこないので、ほとんど返ってこない

資産売却の後に返ってきたとしても100%返ってくるかどうかは分からないし

100%返ってくるにしても返ってくるまでに時間がかかる

早くて2〜3週間、遅かったら何ヵ月間もかかるわ

何ヵ月間もお金にアクセスできないとなると

給料が払えないし、他にもいろんな支払いができなくなる

どれだけ優良なスタートアップであったとしても

潰れるしかない

シリコンバレーというと世界のイノベーションセンター

Web3もAIも、いろんなことがシリコンバレー中心で起こっているが

そういうのがストップしてしまうかもしれない

そういう意味では非常に大きな話なのかなと思う

一つの銀行が潰れるだけなので経済全体には大して影響を与えないのかもしれないが

我々の関心のあるWeb3やAIというテクノロジーの領域に関しては

イノベーションが急に止まるという可能性もあるのかなと思う

バランスシートの健全化施策がパニックの引き金になる

じゃあ何が起こったのかということだが

繰り返しお伝えしている通りシリコンバレーバンクは非常に優良な銀行だった

そもそもこの2〜3年のテック業界は高景気だった

お金が余っていてシリコンバレーのスタートアップにもどんどんとお金が入ってきて

そのお金をみんなシリコンバレーバンクに預けていたので

シリコンバレーバンクも急成長してきた

シリコンバレーバンクは現金で預かったお金を持っているか

もしくは現金の次に安全なものとして国債に投資をした

国債というのはアメリカという国がなくならない限りゼロにはならない金融商品なので

現金と同じぐらい安全なものだと言える

長期の国債を低金利の時に借りた

その後ご存じのようにアメリカの金利が上昇していったので

みんな金利の高い国債の方を買いたくなるので

金利が安い時に買った国債というのを買ってもそんなに儲からないわけだから

金利の安い国債に対するマーケットニーズが下がる

つまり価値が下がるということ

勝手に国債の価値が下がるのでシリコンバレーバンクのバランスシートが悪化した

今まで2XX億があるって言っていたのが

国債の価値が下がることで数十億ほどなくなるみたいな感じ

シリコンバレーバンクは何も悪いことはしていないのだが

金利が上がったおかげで資産価値が下がった

それを何とか埋め合わせしないといけないということで

株式であるとか売れるものをとにかく売った

売ることでそのバランスシートを健全化しようとした

普通のことなのだが、それを経営悪化というふうに見なされて預金客が預金の引き出しを始めた

シリコンバレーバンクのCEOも「パニックならないで」と呼びかけた

「全員が一度に出金しない限り何の問題もないから

みんなが順番に出金していっても何の問題もないので

とにかくパニックならないで

唯一問題になるのは全員・今日お金を下ろすこと

それ以外は何の問題もないので」というふうに言ったんだけども

預金者もパニックになって一度にお金を下ろそうとした

そんな流れで、このめちゃめちゃ優良な銀行があっという間に倒産してしまった

USDCもドル・ペッグを維持できず

ドル・ペッグされているUSDCの時価総額等の低下もあるじゃないですか

あの辺の話はいかがですか?

USDCというペッグされた通貨というのは

彼らもドルをもらってそれを銀行に預けて

もらっているドルの価格と同じだけのトークンを発行している

現金は銀行にあるわけで、その銀行がシリコンバレーバンク

USDCのトークンを持っている人が「やっぱり現金に変えたいわ」と言って

全員がUSDCを売った時に

元になっている現金を引き出せない状態なので破綻する可能性があるということ

(今後については)おそらくどこか大手金融機関が買収に入って

何の問題もない形で決着するんじゃないのかなという思いはあるが

ちょっとやっぱり読めない

最悪の場合は世界のイノベーションセンターがストップしてしまうということ

じゃあ日本のスタートアップ・日本の経済はどうなっていくのかというと

これある意味チャンスかもしれない

シリコンバレーが動かなくなるので

同じようなことをしていた日本のスタートアップが伸びてくるかもしれないし

そういうところにベンチャーキャピタルのお金が流れ始めるかもしれない

どういう状況になるか今は読めないが

非常に流動的に世の中が変わってきているという感じ

来週の頭にでも大きな動きがあればまたショート動画を上げたいと思います

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この記事を書いた人

人ひとりが自分な好きなこと、得意なことを仕事にして、豊かに生きる。 そんな社会に向けて、次なる「The WAVE」を共に探り、学び、創るメディアブランドです。

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