【動画字幕版】クリプトビジネスのポイントは「リアルで成功している人」の活躍の場にあり

 大手ブランドがNFTを活用したビジネスへと進出する中、リアルビジネスにおけるNFT活用はどのように進化していくのか?その中で日本は、どんな領域に活路を見出すべきなのか?

 今回は、ブロックチェーンやスマートコントラクトの社会実装の専門家である、SingulaNet株式会社 代表取締役社長 町 浩二氏にお話を伺いました。

※本記事では、動画解説の字幕部分を展開しています。
記事末に短編動画もあるので、短時間でポイントを押さえたい方は短編をご覧ください。

インタビュイー:[左]町 浩二氏(SingulaNet株式会社 代表取締役社長)、[右]インタビュアー:湯川 鶴章(DAO総研 Co-Founder​)
目次

本編:クリプトビジネスのポイントは「リアルで成功している人」の活躍の場にあり

十何億という高価な物が売り上げられるというのが
証明された世界が今
リアルビジネスの世界で成功している人たちが
いかに活躍できるかというのがポイントになる

--ブロックチェーンやスマートコントラクトの社会実装の専門家ということで
2017年からというとで、この業界では古い方
早くから参入されたって感じですよね?

当初は研究開発を目的でやっていて

今は実装に移ったという感じで長くやっている

実験段階を超えて実商売としての利用が開始

ーーナイキ、グッチとか大手ブランドがNFTで凄い額を売り上げているじゃないですか
何億ドルという、ここまでくると実験の域を超えているんですかね?

去年2021年は本当に実験としてマーケティングでやっていたというのが実態だと思うが

今年に入っての動きはマーケティングとしての施策・実験ではなく

実際に商売の可能性を見出しているというフェーズに入ってきていると認識している

例えばティファニーさんが確か15億の売上を今年あげていて

CryptoPunks(クリプトパンク)という有名なNFTのシリーズがあると思うが

あちらの所有者に向けてクリプトパンクのNFTと実際のジュエリー商品としての

ーーそれはリアルの?

リアルの方

ーーリアルの商品を販売したということですか?
「向けて」というのはメールアドレスを取得してということなんですか?

そうではなく、ブロックチェーンのアドレス

NFTをすでに持っている保有者のアドレスの人が買えるという意味での「向けて」

ブロックチェーンのアドレスは公開されているので人間が「誰か」はわからないが

そのアドレスの人が過去にどういう取引・行動をしたかというのは記録されているので

公開情報としてのアドレスという意味

いわゆる送客やユーザーを他社さんからいただくってのは現実的には難しく、できない行為

ブロックチェーンでは顧客がブロックチェーン上に公開されているので

どういう行動をした人かというのを無料で知ることができるという点で

従来と全く違うアプローチ

クリプトでお金持ちが誕生していることが重要

先ほどマーケティングの領域は出ているよと話した例として

ポイントは、いわゆるクリプトと言われる業界・セグメントで

すでに新しいリッチ層、お金持ちの方たちが誕生しているのが重要なポイント

お金持ちが居ない状態だったら

ブランドの会社が新しい商品をその人たちに向けて発売して、かつ本当に売上が上がるというのはなかった世界

すでに本当にお金持ちがいて

十何億という高価な物が売り上げられるというのが

証明された世界が今なんだと思う

今はマーケティングという状態は抜けていて

そこに資産を購入するお金を持った一定量以上の人たちが居るんだということがわかっている状況なので

「マーケティングでやってみる」ではなく

そこで商売をすることができる状態になっている

--それを利用できるのは有名ブランドだけなんですか?
日本企業で利用できそうなんですか?

まずは有名ブランドはすでにそこのニーズがある可能性が高いのでわかりやすい

ーーお金持ちですからね

あとは新興ブランド

いずれ大きなブランドになるだろうが

その段階として生まれたてのモノを入れてくというのがもう一つある

クリプトパンクも元々存在しなかったモノだが

そのコンセプトや技術力がウケてお金持ちが食いついたので

それと似たような現象は続いて起こるということ

日本の活路はIPにあり

--日本企業だと、どういう業種が向いているんですか?

日本企業の場合はブランドも当然あるが

世界に向けて強いという意味だとIP系

ゲームやアニメーションなど

キャラクターやグッズとしてすでに売れているモノがあるので

これから新しく生まれてくるIPという形が自然な発生の仕方

クリエイターはみんな、Twitter等々でもう色々発信をしている

クリエイター自身にファンが付いているケースが多々ある

すでに有名な方が新作を作って、それをNFTの形で作る

もしくはそれをブランドと組んで作る形になってくると獲得しやすいのではないか

一発売り切りもののNFTは難しいという共通の理解になってきている

昔ジャック・ドーシーさんのツイートが75億円で売れたというのがあったが、

あれは現在、極限まで下がってしまった

買った人がその後ワクワクするようなイベントが何もなかったというのが大きな要因だと思う

IPやブランドにしても、さらにもっとみんなが欲しがる物になるとか

もしくはIPがアニメやゲームで使われるとか

今後のストーリーが見えてくると、そこへの期待が続く

バブルの関係で値が下がることはあるかもしれないが、潜在的なニーズは続くだろうという考え

X to Earn × NFTがもたらす未来

--現時点の話までお聞きしたんですが
これからNFTはどんな風に利用されていくようになると思いますか?

このままの流れが続くと仮定した場合には

先ほども申し上げたことが一つの始まりだと思うが

単発売りであったものが

今度はストーリーがあるような長く時間をかけて楽しめる、ワクワクが続くというような売り方

プロジェクト型として売って、その後にアニメ化されてゲーム化されて

もしくはその後に自分で二次利用できてみたいな形で

長い時間楽しめるような楽しみ方を用意しているNFTへのニーズがあるのが一つ

もう一つは「〜Earn」って、ゲームの言葉でよくあるが

あの考え方と合体するというか

NFTが「次のビジネス権利」を提供するなど

実際に収益化のようなわかりやすいメリットを提供し続けていくものが期待されていると思う

ーーX to Earn にNFTを使えるというのがいまいちピンと来ないのですが
具体的にどういうことですか?

わかりやすく言うと、それを購入して所有していると、収益が上げられる

ゲームの場合は一生懸命努力しないとEarnはできない

もしくは最近流行った「歩く」ということによって

収益というかポイントが増えるのがあると思うが

究極で言うと、何もしないで「持ってるだけ」というのが夢のようなアイテム

そういう形のNFTを開発しようとしている企業は少なくはないと認識している

わかりやすく言うと、そのトークンを持っていると“再販利用券”があるとすると

再販はただ売るだけだが、キャラクターだとすると

そのキャラクターを使った映画を作りたいという会社が出てきた時に

所有者が、今までは大きな編集社さんや会社だったと思うが

個人だった場合にはそのアイテムを使ってアニメや映画が売れた場合に

その著作権料が入ってくるという形がわかりやすい

ーー知的所有権の所有者がガチガチに自分の権利を守ろうとするわけではなく
好きに使ってくださいよと言った方が
Web3の世界では収益的にもより大きくなる可能性があるということですね?

そういう形でもし成功例が出たら

それは凄いねということで、真似してプロジェクトが増えてくるだろう

ポイントは「リアルで成功している人」の活躍の場

--Fungibleなトークン(交換・代替可能なトークン)、つまりは仮想通貨と比べると
「売る」ということだけが目的ではないことから、より長くホールドしてもらえる
コミュニティ形成にはFungible Token(代替性トークン)よりも
Non-Fungible Token(非代替性トークン:NFT)の方が向いてるのかな
という仮説がありますが、それはどう思われます?

代替性トークンは基本的には「金融機能」なので、ある意味無味乾燥

NFTにするようなものは、契約内容もそうだし、絵柄や動画といったコンテンツ自体が付いてくる

そういう意味でビジネスのやるべきことが金融の時より一個増えていて

金融として扱いたい人も当然相手にしているが

いわゆるWeb2の世界と同じ「コンテンツ業界としての動き」が必要になってくる

マーケティングや施策がある意味ダブルでずっとやらないといけない

それだと長く持っていただくユーザーも一定量以上いる

こっちがメインになると思う

ーーX to EarnもNFTをベースにした“NFTノミクス”とでも言うのでしょうか
トークノミクスの代わりの「ノン・ファンジブル・トークノミクス」
そんな風に想像しているのですが、どう思われますか?

まだ読めないところだが

コミュニティを上手く運営するのは技術者の仕事ではない

マーケティングやコミュニティマネージャーの仕事

ブロックチェーン業界はどちらかと言うと技術先行で来ている中で

そこをある意味一歩超えてリアルビジネスの成功者が出てくるかどうかは、まだ読めていない

ーーそういうマーケティングやコミュニティ運営が得意な人がもっと入ってこないといけないということですか?

コンテンツ自体が良いものを作る人たちが本腰入れて入りたいと思って来ることと

それをしっかりと告知してコミュニティを運営する人たちが居ること

そういう複合的な要素が必要になってくる

ーー技術者以外の人たちにも貢献の場、活躍の場がこれから出てきそうって感じですかね?

NFTに関してはインフラだけの産業ではない

リアルビジネスの世界で成功している人たちが、いかに活躍できるかがポイントになってくる

文化としてのキャズム超えは遠くない

今年、実際にモノとして存在している物をNFTで本人証明をするという機能を付け加えて

ブランドを守る・成長させるという取り組みを、ある会社さんとやっている

まだ全く認知されていないので市場全体から言うと水面下でやっている状態

もしみんなが「モノが本物かどうか」をNFTで証明するという文化が根付いたら

一気に当たり前になってくる

NFTはまだ好きな人がやっている世界だと思う

これが文化として、みんなの意識が変わるポイントがいつくるか

そんなに遠くない未来に起こりうるんじゃないかなと思っている

--ブランド側にとっても追跡ができるので良いのかなと思います

ブランド側からすると「攻撃的な守り」

偽造者が難しすぎて「偽装できない」と思わせたら勝ち

紙一枚だとやりやすいので、システム化することによって

偽造者が諦めてしまうところまで持っていけると

ブランドとしては良い到達ポイント

ーーニーズとしては間違いなくそちらにいくと思っています

まだ仮想通貨を買うのに手間だったり、いくつもハードルがあったりと

なかなか一般の人は入ってこないですが

簡単にできる仕組みができたり、一度取引を経験したりしてしまえば

みんなどんどんするようになるので

これから一気に広がってくる可能性は凄くありますね。

UI/UXの改善がどんどん進んできているので、時間の問題だと思う

ーー勉強になりました。ありがとうございました!

★ポイントをまとめたショート動画(2本)

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この記事を書いた人

人ひとりが自分な好きなこと、得意なことを仕事にして、豊かに生きる。 そんな社会に向けて、次なる「The WAVE」を共に探り、学び、創るメディアブランドです。

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