DAOは、指数関数的に進化する技術と遅々として進まない制度改革との溝を埋める、 これからの社会に不可欠なツールになるという。
どういうことか? 今回は、web3界隈の中で最も注目されている考え方の一つ、「ネットワーク国家(Network State)」について、web3とDAOの基本的なところからDAO総研 Co-Founderの湯川 鶴章氏が解説した。
前編:2歩先の未来に向けた「web3」と「DAO」解説!AIが生み出す富を公平に分配する方法としてのDAOを考える
これからが本当に非中央集権社会を生めるんじゃないか、というフェーズ
みんながデータを共有すれば、もっともっと大きな富を呼ぶということが
これから起こってくることじゃないかと期待されている
まず簡単にweb3の話を、一応簡単に説明しておく
web3と呼ばれるからにはWeb1・Web2があるわけで
Web1は一方通行のメディア、マスメディアとかYahoo!とか
Web2は双方向でSNSやソーシャルメディア
Web2の時に、GoogleやYouTubeなど、儲かる会社が儲かりすぎた
「ちょっとそれ儲けすぎじゃない?」ということで
富と権力を分散しようという流れが出てきたというのがweb3なのかなと思う
非中央集権と呼ばれている
web3の定義と背景にある価値観変化
定義は主に2つ
技術的な定義と価値観的な定義
一般的には技術的な定義の人の方が多いのかな
ブロックチェーンを中心とした技術的なパラダイムということで
ブロックチェーンの話も後で簡単に触れる
価値観変化っていうのが僕は割と大きいかなと思う
どんな価値観変化かというと
行き過ぎた資本主義の是正や「Power to the People」
そういうの世界中の人々の心の奥底に
地下マグマのようにふつふつと湧いてきているというのが
今起こっている価値観変化かなと思う
それが環境問題で爆発したのがSDGsで
ネット技術のところで爆発したのがweb3
この価値観変化が起こっていることが非常に大事なことだと思っている
ブロックチェーンの進化(FT→NFT→SBT)
ブロックチェーンの説明
オンラインで同じ台帳を共有するということ
同じ台帳を複数の人と共有していき
異なる数字が見つかったら、みんなで多数決をして
「なんで数字が違うの?」ということで、改ざんした人がわかる
「他の人の数字はみんなこうなってるよ」ということで
改ざんしたらすぐにバレるという仕組み
お金のやり取りの記録に使えるということで暗号通貨が登場
ブロックチェーンは進化してきている
最初は代替可能(Fungible Token)ということで
私の1ビットコインとあなたの1ビットコインは交換可能ですよねというもの
その技術で仮想通貨ができた
4〜5年前から代替できないという技術が乗ってきた
代替不可能(Non-Fungible Token)、いわゆるNFTと呼ばれる技術
私の持っている絵とあなたの持ってる絵
どちらも1ビットコインだけどでも図柄が違うので交換できないということ
2年ぐらい前から「この絵は本物です」という証明書を発行できるようになったことで
デジタルの絵の価値が出てきた
それまではデジタルの絵というのは誰でもコピペできたので価値を生まなかった
1つの絵が数千万円で売れるなどのニュースがいっぱい流れた
これが2番目の進化
3番目の進化は2022年、5月に論文が出た
譲渡不可能(Soulbound Token:SBT)
譲渡不可能とは、運転免許証などのように、他人に譲っても使えないもの
たとえば僕の運転免許証を他人が持っていたとしても使えないので、本人認証なんかに使える
Web2に対するアンチテーゼのはずだが
今のweb3ってお金に関する話ばっかり
暗号通貨はもちろんお金だし、NFTアートも何千万円で売買されましたとか
メタバースも土地が売買されていますとか
もっとみんなにとってより公平な社会を作ろうというムーブメントのはずなのに
結局めちゃめちゃ資本主義的なことが行われている
なぜかというと、まだそういう技術しかなかったから
SBT(Soulbound Tokens)が非中央集権社会を生む
これまで資本主義をもっとひどくしたような形だったが
これからが本当に非中央集権社会を生めるんじゃないか、というフェーズ
SBTの機能は大別すると2つある
1つはセキュリティー
我々は、一般公開してもいい情報と一般公開したくない情報を持っている
例えば自分の勤務先や仕事内容などは一般に知られてもいい情報
一方で、貯金額や健康状態、家族の情報などは、あまり一般に知られたくない情報
一般に知られていい情報はSBTというトークンで一般に公開していく
一般に知られたくない情報は
外付けハードディスクや分散型データストレージなどの安全な技術があるので
そっち側に全部入れておく
SBTでどの情報を誰に対してどれくらいの期間だけ公開・共有できるかを細かく設定できる
例えば今から町医者に行く場合、医者に対して自分の体温や病歴のデータを5分間
だけ公開します、みたいな設定ができる
セキュリティがすごく高くなるのがSBTの特徴の一つ
2つ目の特徴は、公平な投票ができるようになるということ
その人の公開してもいい情報って、結構いろいろとある
どんなオンライン授業を受けたとか、グロービスで修了書が出ているとか
公開してもいい情報を見ることでその人の属性がわかる
属性に従って票の重さを自動的に変更できるような数式もある
例えば今の日本の最大の課題を、僕は「高齢化」と「一人一票という大前提」だと思っている
これが進むと、老人の票ばかりになって来るので
どれだけ若い人が一生懸命政治に参加しようとしても高齢者には勝てない
すでに「選挙に行っても仕方ない」みたいなことにも既になってきている
それが、年齢によって票の重さを自動的に変えることが技術的にはできる
例えば「今年は71歳の人がこれだけの人口いるので71歳の人の票の重さは0.4に下げます」とか
「21歳の人口はこれだけなので21歳の人の票の重さは1.8に上げます」とか
毎年人口動態っていうのは変わってくるので、それに従って票の重さが自動的に変わるというような仕組み
そうすることによって、少しは高齢化社会の弊害みたいなのがなくなっていくのではないか
組織のケースだと、例えば「男性の多い組織では男性の票を軽くする」とか
「同じ学閥の人の意見は票が軽くなる」とか
そういうことが自動調整できるのがSBTの2つ目の特徴
web3×AIで社会課題解決が加速する
安全にデータを共有できるようになる
そうすると社会課題が解決されようになって、富を生むようになるかもしれないということで
今期待が高まっている
ボランティア団体のオープンマインドというところが
「共有することで社会課題解決ができる」と言っている
彼らのWebページによると、たとえば癌(がん)のメカニズムが解っていないのはデータが少ないからだと
地球上の80億人の食事・運動・睡眠・ライフスタイル・DNAのデータと
その人が癌になったかどうかのデータをがっちゃんこしてAIに解析させれば
どういうライフスタイル/DNAを持っている人がどんな癌にかかるかというのを
割と正確に予測できるようになると言われている
つまり癌のメカニズムがよりはっきりと分かるようになってくる
「こんなライフスタイルだったら癌になる確率が90%だ」と言われれば
ライフスタイルを変える人が増えてくるんじゃないのかなと
タバコについても「あなたはタバコ吸うと危ないです」ということがはっきりと予測できるようになるかもしれない
あと痴呆やうつ病など、克服が難しいと言われている病気も、データさえ取ればメカニズムが解明されるのではないか
このように、データを共有することで社会貢献になるということが期待されている
データが増えればAIが富を生んでいくというのが、ここ10年明らかなったこと
GAFAMはAIを駆使したビジネスモデル
データがあればAIが賢くなり、AIが賢くなるとサービスが向上する
サービスが向上するとユーザーが増え、ユーザーが増えと余計にデータが増えて
余計にAIが賢くなって、余計にサービスが向上して、余計にユーザーが増える
この正のスパイラルがグルグルグルグルと勝手に回っていっちゃう
だから会社が大きくなればなるほど儲かるようになるというビジネスモデルが、10年前ぐらいから出てきた
今のほとんど全ての企業のビジネスモデルは「収益逓減型」
このグラフの逆で、規模が大きくなればなるほど儲かる率は下がっていくというもの
インターネットとAIが出てきたおかげで「収益逓増型」のモデルが10年ぐらい前から出てきた
このモデルを採用しているのがGAFAM
日本の経済は「もう30年ぐらいダメだ」と言われている
日経平均とSP500を比較すると、やっぱりSP500の方が伸びている
ところがSP500の中からGAFAMという5社を除いたSP495にすると、日経平均と伸びはほとんど同じ
だから日本の経済がダメだったとか、日本の企業がダメだったということではなく
アメリカの経済・企業もGAFAM以外は日本の企業と同じだったということ
AIを使った収益逓増モデルを採用したから
これからデータをみんなが共有するようになれば
セキュリティが高くなっていき
Web2時代以上にもっともっと社会が富を生むんじゃないかと言われている
データをみんなで共有すれば、もっともっと大きな富を持っていうのが
これから起こってくることじゃないかと期待されている
AIが生み出す富を公平に分配する方法が「DAO」
社会が富をどんどんと生んでいくのはいいが
それがまた一極に集中したら、金持ちが金持ちだけになっていったら困る
そこでAIが生み出す富を公平に分配する方法として
特にDAOという組織を使えば分配公平に分配できるのではないか、と言われている
DAOの定義はさまざま
web3のオピニオンリーダー的な存在のビタリック・ブテリンさん(イーサリアムの提唱者)の定義は
「DAOは共通の目的のために集まったオンラインコミュニティで、運営のための投票がブロックチェーンで行われる組織」
もっと狭い定義の人は
「スマートコントラクトというアルゴリズム(一種の計算式)を用いて運営される組織」
最初にルールを決めてしまって、あとはそのルールに従って勝手に運営されていくもの
それ以外はDAOとは呼ばないよと
逆にもっと広い定義の人は
「web3の価値観(非中央集権)で運営されているオンラインコミュニティ
日本ではまだ暗号通貨の発行等が難しかったりするので、広い定義のDAOが結構まだ多いかなと思う
これから変わってくるのかもしれない
DAOのメリットと日本でのDAO展開の見通し
DAOのメリットはいろいろとある
トークンを発行することで運営資金を集めることが可能になる
参加者はトークンを購入してDAOの賛同者が増えて、トークンの価値が上がれば将来的にリターンを得ることができる
株券のような形なので投票権にもなる
参加者はオーナー感覚で事業に参加できる
透明であって公平である
これから本業とは別で、サイドビジネスとしてお気に入りのDAOに参加する人が増えてくると言われている
技術開発を目的にしたDAOや、投資目的のDAOとか、地域活性化のDAOとか
日本では地域活性化のDAOが結構出てきている
後編:DAOの進化系「ネットワーク国家(The Network State)」とは?21世紀最大の課題の是正に向けて
新しい制度を試行錯誤することによって
国家の方がそれに歩み寄ってくる可能性がある
リアルの国家が外交対象として認めるようになるんじゃないか
2022年6月ぐらいにDAOの進化系である「ネットワーク国家」という概念が
シリコンバレーを中心に注目され始めた
僕、シリコンバレーのポッドキャストとかYouTubeとか結構見ているが
この2,3ヶ月で本当にネットワーク国家のことを取り上げる番組が増えている
結構みんなそこに注目しているのかなと思う
ネット上に国家ができる
Balaji Srinivasan氏提唱「ネットワーク国家」とは
DAOが進化していくと国家になっていくという話
概念的には真新しい話ではなく、インターネットが出てきた時ぐらいから既に言っている人はいた
今の国家はおかしいんじゃないかと
地理・場所だけで国ができるというのはちょっとおかしいんじゃないかと
これからインターネットの時代になると、国とか国境とか関係なくなってくるから
本当に同じような志を持った人たちが集まって国家になっていくんじゃないか
そんな予測が30年ぐらいまで前からあった
今の提唱者が、このバラージさんという方
この本が2022年6月ぐらいに出て、インターネット上で無料で読める
全文公開している
今まではネットワーク国家に対する漠然とした予測でしかなかったが
ブロックチェーン等の技術を使えばこんなふうにできちゃうよみたいな
具体的な道筋を提唱したことが彼の功績かなと思う
ネットワーク国家になっていくと思っている人は結構多いけれども
いや本当になるよと道筋を見せたというのがバラージさんの功績
ネットワーク国家の進化段階
定義としては、まず、一致団結したオンラインコミュニティであるということ
集団で行動を起こせて、その結果クラウドファンディングで土地を購入して
最終的には既存国家から外交の対象とみなされる
こういう順番で進化していくだろうと彼は言っている
同じような志を持った人が世界中のあちこちに土地を買い
自分たちでルールを決めて、分散された国家の中で生活していくようになるという予測
段階としては大きく7段階
最初は「スタートアップソサエティ」、リーダーとフォロワーがいる
次の段階は「共通の目的を持ってくる」、それがネットワークユニオン
この頃から、一致団結具合が半端なくなって
「みんなで新しい文化を作っていくんだ」みたいな強いコミュニティーになっていく
その結果(3段階目として)、暗号通貨を発行してリアルでも会っていく
「じゃあもう土地買おうぜ」ということで、みんなでクラウドファンディングで土地を買っていく(のが4段階目)
自分たちのパスポート代わりにNFTを発行して、世界中に散在するリアル物件を利用できるようになって(5段階目)
その頃には国勢調査をすることによって、コミュニティーの規模というものがわかってくる(6段階目)
「メンバーがこれぐらいいます」「そのメンバー同士でやり取りされている仮想通貨の額がこれぐらいなりました」と
現在世界に190ヵ国ほどあるが、その中の30番目ぐらいまでの人口・経済規模くらいになると
リアルの国家が外交対象として認めるようになる(7段階目)
というのが彼の予測
実は我々はすでにオンライン空間で生活している
特にリモートワーク中心になっちゃうと、自分はオンラインの住民だなぁと
例えば埼玉に住んでいる人が東京で仕事をしていて、秋田に出張したとする
秋田の人から「どちらから来られました?」って聞かれると「東京から来ました」っていう答えたと思う
つまり経済活動は全部東京なので、「東京の人間」というアイデンティティーを持っていた
これがリモートワークになって会社に行かないと、東京の本社に行かない
じゃあどこの住民ですかというと、オンライン空間の住民になってなってきていると思う
オンライン空間が自分の居場所だというふうにアイデンティティーを持つというところから、オンライン国家が始まる
リアル国家の制度とは別の制度が可能に
ネットワーク国家・DAOの何がすごいかというと
スタートアップ的に試行錯誤ができちゃうこと
例えば自動運転は技術的に確立していると僕は思うが、なぜまだ普及しないかというと
環境側にセンサーとかを置かないとダメだから
あらゆるセンサーを信号機やカメラ等につけるなど
環境側にいろんなセンサーがつくことによって自動運転はできちゃうわけだが
その環境側にセンサーをつけることが難しいという問題もあるし
現行の道路交通法との整合性の難しさもある
どこかの山村の村で、おじいちゃんおばあちゃんだけになって
自分たちだけでは運転できないけれど車は必要だよね、というところはいっぱいあるかと思う
その地域がDAOみたいになって、自分たちで土地を全部買っちゃえば
村の道路は全部「私道」になるので、道路交通法は無視していい
そこで自分たちのルールで自動運転車が走り回れるようになる
だから国が変わらなくても、有志たちが集まって土地を買って、自分たちのプライベートな空間にしてしまえば
いろんなことができちゃうだろう
仮想通貨で成立する町というのを作れるかもしれないし
臨床試験を待たずに新薬を試せる町ができるかもしれないし
ベジタリアンのためのコミュニティができるかもしれないと、バラッジさんは言っている
スタートアップ的に自ら試行錯誤する地域がリアル国家の行政に影響を与えるようになる
リアル国家の制度と別の制度
そんなのできるのかという話だが、もうすでに一つ例がある
日本の法律では同性愛カップルは結婚できないということになっている
この法律が変わるような見通しは全然ない
自治体レベルでやりましょうということで、世田谷区や渋谷区で「パートナーシップ制度」をやっている
渋谷区・世田谷区が認めても、企業・社会がそれを認めないと恩恵を受けれない
例えば生命保険の受取人になれなかったり、危篤の時に病室に入れないとか、収支合算でローンを組めなかったり
会社の福利厚生を受けられないのが一番大きいかも
これら家族と認められことで受けることができる
パートナーシップ認証でそれをしましょうというのが、渋谷区や世田谷区がやっていること
でもそれが通用するのは、各区内にある企業や病院が認めてくれた場合のみ
「パートナーシップ認証もらいました」と言っても、世界がそれを認めなかったら全く意味がない
それを、データをブロックチェーン上に記録して認めましょうという仕組みを提供しているのが「Famiee」
日本の仕組み
もうすでに70社以上の企業や生命保険、医療機関、自治体が賛同していて、結婚と同等に扱いますよと
賛同している企業からは恩恵が受けられるという形になってきている
これがどんどんと広がっていけば、日本という国家が結婚制度を変えなくても
新しい結婚制度がこのコミュニティーの中で通用するようになる
国家とは別の制度として、政府に頼らない戸籍制度みたいなのができる
同性愛カップルだけではなく、例えばシングルマザーのシェアハウス同居なんかも家族として認めたいと、彼らは言っている
つまり新しい家族の形を自分たちで模索していくコミュニティーというのがFamiee
国が変わらなくても、コミュニティーが自分たちにいいような制度を作っていけるというのが、DAOの一つの特徴
21世紀最大の課題の是正に向けて
社会制度の改革には時間がかかるが
まずは有志だけでDAOを作り、オンラインでつながりを広げて、一般社会とは別の制度を作っていく
ネットワーク国家まで進化するのかどうかは、ちょっとわからないが
DAOが一般社会に影響を与える可能性があるんだろうとは思う
『The Exponential Age』という、イギリスのジャーナリスト・Azeem Azhar氏が書いた本がある
そこで「21世紀最大の課題は、制度と技術の差が拡大していくことだ」と言っている
指数関数的に伸びていく技術と、遅々として進まない社会制度
この間のギャップがいろんな問題を生み出してきているわけだが
このギャップがますます大きくなっていって、にっちもさっちもいかなくなる
これが21世紀の課題だと、この本は言っている
これに対して、DAOが「試行錯誤」してくれるようになると思う
それがDAOの一つの価値かなと思う
新しい制度を試行錯誤することによって、それがうまくいけば国家の方がそれに歩み寄ってくる可能性がある
先ほどのFamieeも
「パートナーシップ認証がうまくいっているじゃん」と社会が思うようになってくれば、賛同する人が増える
賛同する人が増えてくると、国の方も「じゃあ結婚制度も変えようか」というふうになって来ると思う
新しい技術・価値観によって新しい制度を作ろうということがDAOによってできるし
逆にDAOがないと、これからの21世紀の社会は非常に難しくなっていくんだろうなと思う
DAOは株式会社と非営利団体の中間なので、社会課題を解決するために比較的簡単に作れる組織
今社会には「お金だけ儲けたい」「お金儲けがすべてだ」と思う方が何パーセントかいる
その一方で「いや金儲けじゃないよね、心の時代だよね」という方も何パーセントかいる
でもその中間に「社会貢献もしたいけどお金も欲しい」っていう層が結構いっぱい
いる
今だと、お金を儲けたいという人は資本主義社会で生きていて
お金よりも心でしょうという人は非営利団体を作っている
その中間の層に対してDAOはリーチできる
資本主義社会の組織に入るのも嫌だし、非営利団体もちょっと違うみたいな
その中間にDAOというのが入っていける
お金よりも社会とつながっていたい層とか、お金に伴う責任感が嫌な層とか
そういう層も結構増えてくると思う
今後AIとロボットがどんどんと人間の仕事を奪っていくから
面白くない仕事か、もしくはめちゃめちゃ優秀な人じゃないと
社会で活動できない時代にこれからなっていく
だから引きこもりはどんどん増えてくると思う
子供部屋おじさんというのはどんどん増えて来ると思う
彼らは「嫌な仕事はしたくない」「お金に伴う責任感が嫌だ」と
好きな時に好きな感じで社会貢献をしたい/人の役に立ちたいと思っている人が増えてくるんだろうなと
そういう人たちにとっての受け皿になるのがDAO
あと定年退職者
65歳になると日本では社会からその人は断絶されてしまうが
例えばこれはアメリカの憲法によると憲法違反
アメリカでは人種・性別・年齢で差別してはいけないということなので
一定の年齢に達したから会社では働けないと決めてしまうと、アメリカでは憲法違反になる
一方で、日本では全然認められていることなので、65歳になると社会と断絶してしまう人がいっぱい出てくる
これからますます「元気で豊かな定年退職者」が出てくる
社会は「その人たちには年金さえあげていればいいや」と思っているが
人の幸せというのはお金だけじゃない
おそらくメンタルをやられる人がいっぱい出てくると思うので
働ける場所・社会に貢献できる・自分のペースで社会とつながれる組織が、これから求められてくると思う
DAOは、そういう人たちの受け皿にもなる
21世紀の社会にとってDAOは非常に有効なツールになる
ネットワーク国家が誕生するのかどうかはわからないが
DAOは、指数関数的に進化する技術と遅々として進まない制度改革との溝を埋めるツールになっていく
既存の職業人キャリアの枠からはみ出す人が増えてくると思うので、そういう人たちに機会を与えるツールにもなる
我々はそれを支援するための組織を作って、活動していきたいなと思っております